操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

猫弁

3月17日、18日と「未詳倶楽部」の例會に参加してきた。入会して11年位で10年ぶりの参加である。春の雨の中、キャリーバッグと愛機カメラをかついで、傘をさして東京駅に向かう。さて、アクティで行こうか新幹線で行こうかと迷ったが、早いほうがいいと思い、新幹線に乗った。熱海まではあっという間だ。駅に降り立つと何故か年配(いや超年配)の方がたくさんいる。何故だろう。荷物が大きいのと雨がすごいのとで、駅前のベッカーズでランチ(こだま号の車内販売が3月のダイヤ改正で終了しており、お昼を食べ損ねた)していると、超年配の方々が次々に入ってくる。「梅園ツアー」か何かだろうか。
一休みして、会場の某所に向かう。
メンバーが続々と集まって来た。う〜ん、顔は知ってるけど、名前は知らないヒトばかりだ!!新会員の紹介と共に、7年ぶりに参加のK氏(彼とはmixiでもFBでも繋がっており、年賀状のやりとりもしているのだが、お互い「生」で会ったのははじめて)と10年ぶりに参加の私は軽く自己紹介をした。その後、今回のゲスト、三味線奏者で作曲家の本條秀太郎師匠がにこやかに登場した。実はギター好きなので、三味線には興味があるのだ。

ちょっと一休みしてから大広間に集まって、早速本條師匠の三味線を聞く。豪華な早咲きの桜が活けられており、華やかな感じ。江戸吉原の粋な歌、合間合間に「吉原豆知識」のような話がはさまれ、江戸マニアとしては非常に興味深い。
例えば江戸っ子は濁る音を嫌ったとか、深川芸者(深川はうちの近所だなあ)は足袋をはかず、男物の羽織を着て男言葉で喋っていたとか(かっこいいねぇ)。
歌の中で、客が遊女に振られて、朝まで寝たふりをして待っており、明け方にやっと相方が来たかと思ったら、行灯に油を差すオヤジだったとかいうのがあった。
あれれれ?まあ、行灯に油をさすような男性は、遊女が逃げないようにとか、心中を防ぐためってのはわかるけど、遊女が客を振ってもいいのか??相手は一応お金払ってるのに?私が愛読(笑)している「廓源氏」なんかでは客をとるのを拒否した新米遊女が布団部屋で折檻される、なんてのがあったけど。

廓源氏 3 (まんがグリム童話)

廓源氏 3 (まんがグリム童話)

本條師匠の歌を楽しんでその次はお待ちかねの温泉。そして温泉の後はもっとお待ちかねの夕食。
f:id:lovecats:20120317191921j:image

私は何故かくじ引きに当たって、松岡さんの隣というラッキーな席が当たった。その際に「遊女が客を振ってもいいのか?」という間抜けな私の質問に対して松岡さんは「粋な振り方っていうのがあるんだよ」と優しく答えて下さった。
その翌日ランチの席で隣になったM嬢から紹介していただいたのが「猫弁」。筆者はM嬢の前の職場の同僚なんだそうである。

猫弁【完全版】 天才百瀬とやっかいな依頼人たち

猫弁【完全版】 天才百瀬とやっかいな依頼人たち


早速買って読んでみた。普段あまり日本のミステリーは余り読まないのだが、「しょっぱなから霊柩車が消えるんですよ」「ミステリーなんですが、誰も死なないし、ほんわかしてるんです」というM嬢の言葉に興味が湧いたのだ。丁度「ミレニアム」の読後で、ミステリーづいていたこともある。
猫の弁当ではなく、猫の弁護士、といっても世田谷区で起きた「猫屋敷」の事件を解決したので「猫弁」というあだ名がついた、婚活中の弁護士が主人公である。ミステリーなので内容は書かないが、TBSのシナリオ大賞受賞作で、ドラマ化されるらしい(もうされてるかもしれない)。なるほど、非常にイメージしやすい文体で、登場人物も「誰が適役か」などと考えながら読むのも楽しい。
久しぶりに「ほんわか」したものを読んだ気がした。内容はミステリーだからナイショにしておく。

なお、その後三浦先生に、先の「遊女が客を振ってもいいのか、って松岡さんに聞いてみたんですよ」と言ったところ「あのな、粋な振り方ってのがあるんだよ。そういう振り方すれば、客は怒れないんだよ」という答えが即答で返ってきた。
客も粋な振り方をした遊女に対しては文句も言えず、文句を言ったりするのは無粋とされたのだ。江戸っ子は無粋と田舎者はバカにしていたのだそうだ。