操体法大辞典

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家族に操体をやってあげたい時は?足趾の操法ベーシック講習

「家族に操体をやってあげたいんですが、どうすればいいですか」と、聞かれることがある。

「ここ(TEI-ZAN)でやってもらったようなことをすればいいですか?」「子供が忙しくて、なかなか連れてくる時間がないんです」

橋本敬三先生の本には「家庭でできるとしたら、クスグリ療法ががある」と書いてある。おそらく橋本先生も、患者さん達から「家族にやってあげたいが、どうすればいいですか」というような質問を受けたのだろう。

この辺りは非常に微妙な問題である。健康の度合いが間に合っているような人が、長歩きをして疲れたとか、そのような場合ならば、足関節を背屈させて脱力、でも対応できる。しかし、健康の度合いが下がっており、その人の健康度では間に合わない時はやはり専門家の助けが必要である。この辺りの兼ね合いが以外とうやむやになっている。

クスグリ療法とは、赤ちゃん向けの操体である。赤ちゃんを寝かせ、正座をした操者の両膝で頭を軽くはさむ。そして赤ちゃんの脇腹に触れる。脇腹を触るとわかるが、肋骨と骨盤の間には骨がなく、そこには縦に筋肉のすじが走っている。その筋に対して、指先を垂直にあてて、上下させるのだ。実際はコチョコチョくすぐっているのではない。

こうすると、赤ちゃんや小さい子供はキャッキャッと、からだをよじらせるが、この無意識の動き(逃避反応)が、歪みを正しているのだ。赤ちゃんと書いているが、大人でも効果がある。なお、大人が高いところから落ちて気絶した時などにも有効だそうだ。

その他に「家族にできる操体」の記載を探してみると「最大圧痛点を押す」というものがある。例えば、背中のコリを思い切り押すと、その痛さに逃避反応を起こす。そこで一瞬息がとまり、次に「ふ~っ」と一息ついた後は、圧痛が消えているという次第。これなら家庭でもできるだろう。

操体は、ボディの歪みを正すことによって、二次的に症状疾患を解消している。

 

  1. 逃避反応(最大圧痛点を押して、逃避反応を起こす)
  2. 対になった二つの動きを比較対照し、楽な方に動かして、瞬間急速脱力(第一分析)
  3. 一つ一つの動きに、快適感覚の有無をききわけ、きもちよさを十分味わうことにより、ボディの歪みを解消する(第二分析)
  4. 刺激にならない皮膚への接触により、無意識に働きかけ、ボディの歪みを正す(第三分析)
  5. 被験者(患者)に触れずに、ボディの歪みを正す(第四分析以上)

★番外 足趾の操法 

 

操体を大分類すると、上記のようになる。家庭でできるとすれば1と2だろう。

3~5は、専門家の範疇であるし、できるようになるには数年はかかる。

番外の「足趾の操法」は、習えば家族にやってあげることができる。時間的には30時間から60時間勉強すれば、家族や友人のケアはできるようになるだろう。

また、この一覧をよく見ていただきたいのだが1から5に向かうにつれて、被験者のからだにかかる負担は減っていく。逃避反応は最初に痛みを伴う。対になった動きをとらせるにせよ、もしもぎっくり腰や、急性の寝違いなどの場合は、動かせないし、動かすと痛みを伴うことがある。

私達が良く言うのが「最小限のちからで、最大効果をもたらす」ということだが、それが「快適感覚」だ

 

なお、このたび「家族にやってあげたい」というリクエストが多いため「足趾の操法ベーシック」講座を開講しました。ご家族のケア、メンテナンスにお役に立ちます。