操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

首こり、首の不調、不定愁訴と操体。

操体創始者、橋本敬三先生は、弟子に「腰と首はよく診なさい」とおっしゃっていた。腰と深い関係がある膝裏(ひかがみ)はもとより、臀部梨状筋の異常など、腰部はチェックポイントが多い。その他、膝二分の一屈曲位で膝を左右に傾倒させるなどの動診も使えるし、立位での動診も同様である。

首の触診はひかがみの触診同様、必ずと言っていいほど行う。

私は慣れているので、被験者の顔を見れば、どこに異常があるかわかる。慣れとコツをつかめば、視診触診動診を一度に行うことができる。

最近「首コリ」という言葉をよく聞く。首はハードワーカーで、その細さで過酷な役割を果たしている。肩こりと首こりは、神経の通り道から考えても、一緒に考えない方がいいのでは、という意見もあり、私は賛成している。

寝違いやムチ打ちと、生活習慣から起こる歪みから派生する首のトラブルは対処法が異なる。その詳細はここでは書かないが、最近問題になっているのが、パソコンやスマートフォンを長時間使うことによる、首への過剰な負担だ。下を向くので「下向病」と呼ぶドクターもいる。下向きは、首の不調を呼ぶばかりではなく、女性の場合「胸が垂れる」ということもあるらしい。

操体は、首のみならず、原因究明と解決法の指導も行う。大抵は日々の使い方の間違いから起こっているからだ。足首のトラブルが首にくることもある。

私はまず土台を正すことから始める。それが近道だから。

また、不定愁訴の多くは首が原因という説もある。

首の調整は、ある程度の経験とこつが要求されるが、これが決まると、例えようもない感触を味わうことができる。操者と被験者の双方が、同時に気持ちよさを味わうことができる。