2012年11月18日(日)、東京千駄ヶ谷津田ホールにて、秋季東京操体フォーラムが無事終了した。今回のテーマは「自力自動・自力自療」。自分のからだを自分で操り、きもちよさをききわけ、味わうという、実は簡単なようで一番高度なテーマだった。
きもちよさをききわけるにはコツがある。それは「きもちよく動く」のではなく「ゆっくり動く」ということなのだ。
「本を見てやってもよくわからないんです」という方によくお会いするが、大抵は早く動いている。ゆっくり動いたほうが、感覚(きもちよさ)をききわけられるのだ。
これに関しては、三浦理事長から実行委員若手二名に対し、床に一番安楽な姿勢で横たわり、五分かけて起き上がりなさい、という指導があった。普段起き上がる時は五分もかけないし、五分かけるには結果としてゆっくりと感覚をききわけて起き上がることになる。
実は、これが「感覚をききわける」というレッスンになる。朝でなくとも良いから、五分かけて起き上がってみると、どんなに「感覚をききわける必要」があるか実感できる。
お試しあれ。
★このポジションから五分かけて起き上がる。
今回の特別講義は、太田剛氏 株式会社ギア代表 編集工学研究所特別研究員
慶應義塾大学(SFC)講師。 プロフィールはこちら。と書いたのは、一体どんな事をしているヒトなのか、なかなか説明がつかないからだ。多分「操体ってなに」と聞かれて一言で答えられないのと同じだ。今回は「編集」を元に、各自に「おかしな私」(自分をお菓子に例えたら?そしてそのココロは?)というのを参加者全員が発表した。普通「自己紹介」というと、出身地、仕事などを考えるが、そこに「自分をお菓子に例えたら?」という「編集」が起こる。それを皮切りに、編集工学(松岡正剛氏が創案)の基礎の基礎にはじまり、密教から歌舞伎(歌舞伎は実際に「寺子屋」を鑑賞)に至り「寺子屋」に至っては、その人間関係(詳細は省く)に潜むもの、に至った。それに「コミュニケーション」が加わり、私をはじめ、参加者は多分アタマの中がぐるぐるになっただろう。そしてコミュニケーションから操体へ。
今回太田氏に講義をお願いしたのは私と三浦先生なのだが、いつも臨床の事や、操体の事ばかり考えているメンバー(もちろん、いいことなのだが)のアタマの中をぐるぐるにしようというたくらみである。
橋本敬三先生は、臨床に没頭していた三浦先生に「治療所に籠もって患者ばかり診ているとのーみそがくさるぞ」とおっしゃったそうだ。これとほとんど同じ意味だ。
来年は4月28日(日)に、春季フォーラム開催予定である。
ご参加の皆様、フォーラム実行委員の皆様、ありがとうございます。