操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体の講習 なぜ「きもちよさを探す」ではないのか

操体法講習プログラムを改訂しました。

先日のこと。受講生のAさんにセルフケア(自力自動)の操体を指導していた際、彼女が「首を後ろに倒して、きもちよさを探せばいいんですね」と言った。

「きもちよさを探す」という言葉に敏感(笑)な私は「いえいえ。探すじゃないんだなこれが」と答えた。

「探す、じゃないんですか?」

「探す、というよりも『動かしてみて、試してみて、きもちよかったらやる』という感じです」

「へええ」

「探す、っていうと、セカセカ動かしたくなりません?」

「そうですね。セカセカしちゃいますね」

「セカセカすると、ゆっくり動いて感覚をききわけられなくなります」

「なるほど」

「だから『探す』んじゃないですよ。

ちょっとした意識の切り替えですが、結果が全く違って来ます」

「また、操体は『診断(動診)』があって『治療(操法)』があるので、『動かして見る』というのが、診断です」

「きもちよさを探して動く、というのは、診断をすっ飛ばしてしまってるわけです」

「一人でやるにせよ、診断は必要なんです」

「はい」

「それから『きもちよく動いて』というのもちょっと考えものです」

「本来、ゆっくり動いて(感覚をききわける)、なんです」

「もしも、Aさんがぎっくり腰でうちTEI-ZAN操体医科学研究所に来て、腰が痛くてからだを海老みたいにしているAさんに、私が『きもちよく動いて』と言ったら、どうですか」

「痛いのに『きもちよく動け』と言われたら、ハラがたちます(笑)」

「でしょ。なので『ゆっくり動いて、感覚をききわけて』なんです」

 

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 お茶の「井ヶ田」。橋本敬三先生はここの芽茶を愛飲されていた。
外で売っている抹茶味のソフトクリームが美味。仙台市内にて。