操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

足関節の背屈について少し説明しましょう(その2)

その「橋本敬三先生が実際に臨床で行っていたこと」を、再現するのが、東京操体フォーラム理事長であり、我らが師匠、三浦寛先生です。

赤門鍼灸柔整専門学校の柔道部で練習していた18歳の頃、いつも自転車で学校にやってくる、姿勢のいいお洒落な紳士がいました。
三浦青年はその紳士に興味を持ち、受付の女の子に聞いてみたところ、「橋本敬三というドクターで、鍼灸科で講義をしている」という情報を得て、じかあたりします。

★シマジ先生もおっしゃっている「じかあたり」ですね。

「先生の講義が聞きたい」という願いが叶い、橋本敬三先生の講義を聞くことになりました(一番前で聞け、と言われたらしいです)。

その後、橋本敬三先生は、三浦青年のお父様を内緒で仙台に呼び

「息子さんを預からせてほしい」ということになり、弟子入りします。
そして、5年の間、柔整科、鍼灸科を卒業するまでの5年、弟子として過ごすというわけです。

橋本敬三先生は結構筆マメだったようで、三浦先生もハガキとか手紙とか色々もっていらっしゃり、見せていただいたことがあります。

 

この辺りの話を含めて、実際に橋本敬三先生がどのような操体臨床を行っていたのか、
(有名になったのは80歳越えてからですから、その前の、臨床家として一番アブラがのっている時ですね)ご紹介するのが

2017年春季東京操体フォーラムです。

2017年春季フォーラム(速報) « 東京操体フォーラム

 

www.sotai-miura.com

 

「足関節の背屈」に戻りますが、私自身、最初に操体を習った時は、足の甲に手をかける、ということを習いました。そして、自分で実際にやってみていたのですが、足の甲は甲でも、ある場所に手をかけると、全身が連動することがわかったのです。

 

橋本敬三先生は、多分無意識のうちにそのポイントに触れており、連動を誘発していたのではないでしょうか。そしてそれを至近距離でいつも見ていた(見ることの大切さ)三浦先生も、その秘訣を自然に体得していたのではないか、というのが、先輩方には叶いませんが、それなりに20年以上操体をやっている私の意見です。

 

★抵抗をかける場所(我々は抵抗とはいわず、介助補助と言います。抵抗だと、相手が力んだりしてしまいますから)なんて、どこでもいいじゃん!というのは大間違いです。とくに、効果が欲しいのであれば、なおさらです(みんなそうですよね?)。

 

まず、大切なことを挙げましょう。

 

準備 
操者は「身体運動の法則」は体得しておきましょう。これは「体操としての般若身経」ではなく、「からだの使い方、動かし方」のことです。特に「側屈」は大切です。

しつこいですが「わき伸ばし」ではなく、側屈です。

からだが倒れる方と反対側の足(つまり、体側が伸びるほう)の母趾球に体重がかかり、からだが倒れるほうの足の踵は浮きます。踵は浮きますが、母趾球でしっかり支えます。

これは、立位だけではなく、正座位でもこのようにします。
正座の場合で右側屈する場合は右の膝蓋骨の内側、床についている辺りを押し込むと、体重が左の臀部に移動し、左体側が伸びて、上体が軽く右側屈します。

 

側屈と捻転はしっかり体得しておいて下さい。側屈は、膝の左右傾倒の場合などの介助補助には必須です。これができないと被験者の動きについていけません。

 

あ、当然ですが爪は切っておいてくださいね。

★私の講義では「抜き打ち爪切り検査」しますよ(笑)。

 

そして、座る位置ですが、被験者の足元になります。操者と被験者の正中を合わせるコトもありますが、操者の正中と、被験者の足関節を合わせることもあります。

 

横からやっている場合もありますが、からだの使い方、動かし方からみると、操者被験者互いに、やりにくいとか、からだを壊すようなことにもなりかねません。「身体運動の法則」に従い、被験者の足元に座しましょう。

 

(つづく)