「たわめの間」って聞いたことがありますか?
操体(特に第一分析)では、とても重要なことです。
★私はバリバリの第1分析はやりませんが、限りなく第2分析に近い第一分析(最近D2'と命名)はやることがあります。
★というのは、第1分析はできますし、第2分析もできるし、第3も、第4も第5もできるのですが、クライアント(被験者)によって、使い分けたりするからです。
何年か前、アメリカで「操体を習った」という日本人(アメリカで鍼灸師の資格を取っている)と、アメリカで指圧をやっているというアメリカの治療家に会いました。
その時聞いたのは、操体で、瞬間急速脱力に導く際(第一分析ですね)、動かしやすいほうに動かしてから、そのポジジョンをキープして、スリーカウントで脱力すると聞きました。
脱力の方法も「ラグドール」(ぬいぐるみ、という意味。猫の種類でも「ラグドール」というのがありますが、抱っこするとでれっとか、ぐにゃっとするような感じ)のように、と習ったと聞きました。
第一分析を行う(二者択一の瞬間急速脱力を行う)場合、「たわめの間」ということを重要視します。
「たわめる」というのは、青竹を曲げてしならせているような状態です。
しなっているということは、「抵抗」に対して「しなっている」ということです。
なので、瞬間急速脱力すると、その「しなり」が「整復」「骨格矯正」に繋がってくるわけです。
瞬間脱力には「たわめ」が必要なのです。
なお、被験者のからだの具合や、年齢や要因によって、瞬間急速脱力が不可能な場合があります。また、我々が持っている橋本敬三医先生の講義の動画では、橋本敬三先生が、瞬間的に抜いてくれない被験者の中年男性に一瞬「キレキレ」っぽくなるのがありますが、瞬間脱力できない人もいます。
そのような場合「たわめの間」を獲得することにより、動診操法を上手く運ぶことができます。
しかし「動きをとめて」「3カウントしてから脱力」だと、この「たわめ」の「しなり」がないのがおわかりでしょうか?
「動きを止めて」ではなく「たわめて」なのです。
日本国内でも、「3カウントしてから脱力」と、やっているところもありますが、これは、指導者が「たわめる」「たわめの間」ということを、受講者や被験者に伝えられず、3カウントという形で簡略化したものだと想像できます。
第一分析においても、「たわめ」を創造するには、操者自身が被験者の「動きのベクトル」を読まなければならないからです。
「動きのベクトル」が読めない場合は「動きを止めて」「3つ数えたら脱力して」というしかありません。
第一分析(楽か辛いかの、比較対照の動診を行い、辛い方から楽な方へ動かして、二~三秒のたわめの間の後、瞬間急速脱力に導く)で、効果を出すには「たわめの間」の獲得が必要なのです。
いいですか?
「3つ数えて脱力」では、操体で、何故「瞬間的に脱力させるのか」という、大事なことが抜けてしまうのです。
★勿論、我々は「第一分析」において、瞬間急速脱力させなくても、ボディの歪みを正す、という手立てを知っています。
そして「操体臨床家への登竜門」、今年設立40周年を迎える「操体法東京研究会」の定例講習が9月に開講いたします。
「瞬間的に脱力できない場合は?」「動けない場合は?」「快適感覚がわからな場合は?」など、操体実践者がぶつかる悩みの解決糸口、あるいは、全くの初心者でも(むしろ、妙な前知識が入っていないほうがいいかもしれません)操体臨床家へのステップを歩むことができます。