2017年5月26日付けの、消費者庁のニュースリリースです。
法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に、というものです。
施術(手技)の内容では、「整体」、「リラクゼーションマッサージ」、「カイロプラクティック」などでの事故が多く、特に「整体」、「カイロプラクティック」などが、治療期間が1か月以上となる事故の割合が高くなっています。
症状の内訳としては、「神経・脊髄の損傷」が最も件数が多く、他に「擦過傷・挫傷・打撲傷」、「骨折」などの症状が多く寄せられています。
性別は、事故全体で女性が約8割を占めます。また、年齢は、30 歳代から 50 歳代までの事故が多く、治療期間が1か月以上となる事故は、60 歳代以上で発生する比率が高くなっています。
(以上引用)
これらは、殆ど「受け手のからだの許容量以上の外的暴力を加えて起こる」ものです。
たまに「操体はゆっくりやるから安全」「痛くないから安全」と言っている人がいますが、ちょっと説明が足りません。
★逆に言えば、橋本敬三先生は、いきなり激しく動いた患者に肋骨を蹴られて、肋骨にヒビが入ったという話を聞いたことがあります。
操体が何故安全か。それは「本人にしかわからない感覚のききわけを重視」するからですし、指導者は「介助補助」と「言葉の誘導」を用いるだけで「実際に動くのは本人」だから。
人間のからだというのは不思議なもので、自分のカラダを動かす時は(特に感覚をききわけながらゆっくり)無意識の領域で、怪我をしないように絶妙なバランスを取っているのです。
また、操体は操体でも「外的暴力的な第一分析」をやっている場合は、被験者の感覚分析はしていないでしょうから、危険性はあります。
さらに、操者が「からだの使い方、動かし方」のルールを知らないと(運動力点の使い方などを習得していないと)怪我の危険性はあります。
「がんばって、もっともっと、ギューっと」という言葉などは、被験者を力ませてしまいます。それでなくとも、初回時の被験者は緊張しています。
操体法東京研究会の定例講習を考えると、やはり最初は介助補助「力加減」が分からず、組んだ相手に「力を入れすぎです」と指摘される人は、必ずいます(ほぼ男性です)。
本人は「強かったですか?」と言います。
つまり、相手に対する力加減がわからないのです。
また、本人自身が、長年の習慣で、無意識のうちに緊張していることも、結構見受けられます。会社員の男性に多いです(仕事で長期的に緊張と、ペルソナを作ってきたからかもしれません)。
この習慣を変える、あるいは力のコントロールの習得に時間がかかります。私の経験から言って、長い人は5年かかります。早い人もいますが、力量とセンスの問題かもしれません。
しかし、時間をかけて、からだの使い方、動かし方、ちからの使い方を学べば、大丈夫です。操体法東京研究会の定例講習の期間が長いのは、そのためです。
また、様々な事例から「安全」を学ぶのも、操体法東京研究会の特徴の一つです。
★この指導は「視診触診講座」で、私が指導しています。
(そもそも操体で事故が起こるとは考えられませんが、事故が起こった場合、大抵は「力の加減ができていない」「被験者の感覚を無視した外的暴力を与えたため」「言葉の誘導のあやまり」などが原因だと思われます)
また、元々力が強くても、運動力点作用点などの原理を上手く体現できる人は、パワフルでも優しい介助補助ができます。
手技療法で「事故が起こる」というのは、この「力加減」のコントロールを習得しないまま、安易に短期間の整体などのセミナーを受けた人が、リラクゼーションサロンや、整体などの業界にバンバン流れ込んでいるからでしょう。
いずれにせよ、骨などに外的暴力(橋本敬三先生は「外的暴力」とおっしゃっています)を与えるということに関しては「受け手のからだの事情」と「自分の力のコントロール」を考えなければなりません。