今の世の中、ネットサーフィンをしていると、興味がありそうな広告が出て来ます。
「奇跡のテクニック」「素人でもすぐ結果が出せる」「売上げ月300万なんてすぐ」「患者さんが途切れないテクニック」
大抵は無料動画配信で、メルマガに誘導し、セミナーに参加させるというものです。
私もセミナーをやるので、「こういうやり方もあるんか」と思ったりはします。
しかし大抵は「○○にはこんな治療法」「○○の治し方」みたいな感じなんですね。
操体には「○○疾患を治す」という考えがないんです。
勿論、経験値などはありますが、「○○に効果がある操体」という売り方は、本来のモノではありません。
★書籍を出す場合などは、やはり売らなければなりませんから、ある程度妥協することもあったりしますが・・
今から30年~25年くらい前までは「ホールインワン・テクニック」というのがありました。(昭和の後期から平成初期ですね)
「頸椎1番(C1)を調整すれば全身調整できる」
「仙腸関節を調整すれば、万病が治る」
みたいな。
操体も「つま先を挙げて落とせば」
「膝を左右に倒せば」「うつ伏せでカエル足みたいなことをやれば」OK!
みたいな時代です。
しかし、オフィスからワープロが消えて(昔は官公庁とか上場企業は、富士通のOASYSを使ってたもんです)、Windows3.1とかWindows95が(Macはデザイン事務所など以外ではあまり使われていなかった)出てくると、
人々のカラダと心が驚く程変わりました。
まず、メンタル的な疾患が増えたのです。
私の周囲でも「うつ病が増えた」という話を沢山聞きました。
そうなってくると、今までの「ホールインワン・テクニック」が効かなくなってきたという話が増えてきます。
また、今は殆どいませんが、昔は「ボキボキ、バキバキ」というのが多く、加えて事故も多かったりしました。
なので、最近は「ソフト」なってきています。
めちゃくちゃ痛いので有名だった「ロルフィング」も今は痛くないという話を聞きますし、カイロでも「触れるだけ」というのもあるようです。
しかし、
法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に(消費者庁)
今でも、いわゆる「整体」「リラクゼーションマッサージ」「カイロプラクティック」で、事故が起きています。
私自身、取材で確か「欧風カイロ」(カイロプラクティックって、アメリカ発祥なんだけど、何故か欧風)というのを受けて、カラダを痛めたとか、
最近では、ある古武術系の勉強会に行って、仙骨の調整をされたら、首が回らなくなったことがあります。
★どっちも操体で手当しました
なので、橋本敬三先生曰く「暴力的他力」の恐さというのもわかります。
★このあたりは、微妙なのですが、上手い人、達人名人にやってもらうと、他力的療法でも「イタきも」とか「きもちいい感じ」であり、勿論後に残ったりしません。
★なので、他力的療法ほど、名人達人を選んだほうがいいと思います。
操体も「皮膚(渦状波®)へのアプローチ」など、被験者に対する刺激を極力抑えた、感覚分析の世界に行ったのも時代の流れにのったことだと思います。
さて、操体の創始者、橋本敬三先生は「治す事まで関与するな」という言葉を残しています。※お医者さんです
治療家、臨床家を目指す人は、少なからず「人様を治したい」という気持ちがあるのではないでしょうか?
また、人に感謝される仕事がしたい、という方もいらっしゃいますが、これも「治した、改善した結果、感謝される」ということでしょう。
勿論、最初は「治したい」でもいいんですが、いつまでも「どうやったら○○は治るんでしょうか」というのでは・・・・。まあそこが勉強です。
また「○○に操体は効きますか?」と、施術者自身が「ほんとに効くんかいな」というスタンスで、効果があがるでしょうか?
★あがりませんよね?
「治したい」から「治す事まで関与するな」へ。
そのプロセスが「操体の勉強」なのです。
「治す事まで、関与するな、っていう意味が分かりましたよ」
これがわかると(最初から分かるというのは、それもちょっとマユツバです)、いっぱしの「操体の理念を会得した」操体臨床家です。
操体の基礎の基礎