次のプログラムは、武術・身体技法研究家の甲野善紀先生の講義です。
著書は色々読んでいますが、ナマ甲野先生は初めてです。
以前、柳生心眼流の島津兼治先生に「甲野さんに古武術を指導した」と伺ったことがあります。この辺りは繋がりがあるのでしょう。
甲野先生、着物姿(羽織袴)で登場しました。
結構有名な話ですが、火傷をした時、普通は冷やしますよね。
ところが、甲野先生が鉄板焼き屋かどこかで火傷をした時「温めたほうがいい」(患部をお湯に浸けるといい)という話を思い出し、お店にあったお茶に患部を浸けたそうです。最初はジンジンするのですが、翌日にはすっかり良くなったという話です。
また、冷え症の人に、ゴムで締め付ける服装をやめて貰うと、冷えないとか(100パーセント効果アリだそうです)
「常識」とは違うことを検証していらっしゃる。
まあ、操体も「ワタシにとっては常識だけど」「世間の非常識」というところはありますよね。
大抵は痛いことして我慢すれば治ると思ってる。
左右同じくらいにやるとか、痛いほうを余計にやれば治ると思ってる
「きもちいい」で治るなんてとんでもない
なんて。
しかし、どんなに効果があっても、それをやらない人はいるんだそうです(確かにそうですよね)。
そして「自分が考案したことでも、このほうがいいと思ったら、すぐ変える」ともおっしゃっていました。
★最近本を書いていらっしゃる「ヒモトレ」を公開。
★こういうのを見ると、私達は「道具を使わないでやる方法はないか、と考えます。
「変える」
この辺りは、三浦先生にも通じるところがあります。
例えば、三浦先生が「快適感覚」と言い出したのは、橋本敬三先生が90歳の時でしたが(実際は85歳の時に「快」という話を橋本先生から聞いているそうです)、当時「快」とか「きもちのよさ」と言って、操体関係者から総スカンをくらったそうですが、
★「快」「きもちよさ」という言葉に、性的なニュアンスを感じる人が多かったのではないかと推測します。
90年代「脳内革命」など「快」がポジティブに捉えられると、それまで「快」を否定していた方々が、さも最初から「操体は快」と言っていたように、なりました。
★しかし、言葉だけ「気きもちいいほうに」という状況で、やっていることは「楽」という状態になっています。未だにそのままの人もいますね。
そして1999年「快からのメッセージ」が出た際、多くの操体関係者は「皮膚だぁ?」と仰天しました。勿論信用していなかったのではないかと思いますが、
私が2005年頃に「そのうち、皮膚をバカにしていた操体関係者が『やっぱり操体は皮膚よね』と言い出す」と、予言したところ、
全国大会に出ていらっしゃる方の中にも「皮膚の操体マッサージ」(ちょっと意味が不明)とか「皮膚をずらす」(刺激ではなくて接触なんですけどね)とか言い出す人が現れました。
15年経って、やっと「皮膚も8方向に動く」とか、追いついてきたということです。
で、その場合「三浦先生の話をヒントにした」と言えばいいのに、こう言うときばかり「操体はみんなのモノだから」とか、さも、15年前からそうだったような言い方をする人がいたりします。
この辺は、ずるいです。
★ちなみに、多くの方が真似をしていますが、殆どは「刺激」です。
つまり違うことをやっています。
これは「ずらす」「ひねる」「ねじる」「ひっぱる」などで、「整膚」と同じです。
「皮膚へのアプローチ」ではありません。
ちなみに、刺激は「意識」関与しますが、「接触」は無意識に関与します。神経の伝達経路も違います。
まあ、橋本敬三先生も三浦先生に「自分のやってることは60年先を行ってるから、今理解されなくてもいい」と仰っていたそうです。
パイオニアは叩かれるんですよね。
ちなみに、甲野先生も「昔はウサギ跳びやったけど、今はやらない。昔は運動中に水を飲んじゃいけないと言っていたけど、今は飲めと言われる」という話をされていましたが、全くその通りなのです。
パイオニアが最初叩かれて、そのうち「何だかこれ、ホントじゃない?」とフォロワーが増え、15年位してから、コンサバな人たちがついてくる。
ということです。
甲野先生、ありがとうございました。