操体の講習をやっていると、必ずといっていいほど出るのが、
「操者の力が強すぎ」という被験者役からの指摘です。
力が強いと言われるのは、大抵は男性です。
もっと言うと「今まで人に触ったことのない職業」の人が多いかもしれません。
もっと言うと「定年退職後に手技療法の世界に入ろうとしている」人かもしれません。
なお、鍼灸師とか、指圧師とか、柔道整復師とか、人に触れるチャンスがある職業の人は「力加減がわからない」ということはあまりありません。
また、面白いのは「鮨」を握るとか、料理人も力加減は上手いような気がします。
私自身、こういうことが起きるのは「オジサンだから?」(失礼)と思うところもありましたが、実際「触れる事」に関する感覚は、男性のほうが早く衰えるそうです。
なお、逆に「丁寧すぎる」と、なんだかいやらしい感じにもなりかねないので(さじ加減が微妙)、そのあたりも考える必要があります。
「居つかない」(武術で使いますね。この言葉)のが大事かなとも思います。
なので
若い頃から人に触れているような職業の方は、触れる力を鍛えているし、衰えないのです。
つまり、自分が「これくらいの強さでいいだろう」という感覚は、相手(受け手)にとっては「強すぎる」ようになってしまうのです。
- これくらいの強さでいいだろう
- 被験者には「強すぎる」と言われる
この二つの間で揺れるわけです。
さて、先日の定例講習である受講生が「どうすれば、介助補助の力の加減が上手くいきますか」という質問をしていました。
三浦先生は「こうやるんだよ」と、一例を示して下さっていましたが、
「どうすれば、介助補助の力の加減が上手くいきますか。上手く行くコツのようなものはありますか」(これは、操体施術者にとって、一番大切な問題かも)
というのは、言わば
「どうすれば女性にモテますか」と聞いているのと同じような気がします。
答え的には二つ。
一つは、女性に触れて、イヤな感じとか強いとか、不快感を与えないようにふれればいいんですよ、ということ。
もう一つは、「触れ方が上手くなる方法も、女性にモテる方法も、王道なし」(地道に勉強しろってことですね)。
しかし、物事には抜け道?というか、求める者のみに与えられることがあります。
手の感覚を鋭くする方法です。いわゆる、外気功(医療気功)です。
★外気功を施術に用いているのではなく、手の力を鋭くし、最大限のパワーを得るために使うのです
私はこれを伝授しているのですが、面白いことに、
「絶対必要に見える人は何故かチャンスを逃し」
「上手い人はチャンスを得るので、更に上手くなる」ということが起こります。
つまり、ヘタな人はヘタなまま。上手い人は益々上手くというループです。
前も書いたと思いますが、ある人に「封印してきたけど、もうそろそろ伝授してもいいかな」と思ったら、その直前に、その人が講習参加をやめるということになりました。
あまりにも面白いタイミングだったので「へえー」という感じでした。
これは、カミサマが「教えなくてもいい」というお告げを下さったのかなと思っています。