操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

口頭で「操体臨床」を行う

操体の第四分析に「息診息法」というのがあります。

この中には「飛ばし」という「臨床を飛ばす」(つまり、遠隔的)なものもあります。

 

第三分析、渦状波®を「気功ですか?」という方もいらっしゃいますが、外気功を修めている私から言えば「第三分析も第四分析も、気功とはちょっと違う」と言えます。

 

それとは別に「触れずに口頭で操体臨床」をやってみたので、ご紹介しましょう。

触れずに口頭で操体臨床と言えば、いくつかの方法があります。

 

一つは、不特定多数を相手に、口頭のみで指導する方法。わかりやすく言えば、フォーラムやセミナーで、複数を相手に、口頭で、スポーツクラブのインストラクターのように、指導する方法です。

「はい、それでは、足は腰幅、つま先と踵は平行に~」みたいな。

 

もう一つは、カウンセリングではないですが、対話形式での臨床です。

 

先日日曜、午前中の視診触診講座の際、フォーラムのメンバ-であるH君が背中と腰をさすっており、立ったり座ったりするときに、痛そうな顔をしていました(って、痛いんですよね)。

 

昨年一人暮らしを始め、仕事も結構タイトな感じで、ちょっと痩せたかなという感じです。

 

その前に、私は受講生達に本を紹介しました。

臨床家なら読んどけ!シリーズです。

 「椅子がこわい」は、松岡正剛さんの「千夜千冊」にも登場します。

1000ya.isis.ne.jp

腰痛放浪記 椅子がこわい(新潮文庫)

腰痛放浪記 椅子がこわい(新潮文庫)

  • 作者:夏樹 静子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/07/22
  • メディア: Kindle
 

 

そして、これも「臨床家なら読んどけ!」の「腰痛は怒りである」。サーノ博士の有名な著書です。

 

腰痛は<怒り>である 普及版

腰痛は<怒り>である 普及版

  • 作者:長谷川 淳史
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2002/03/09
  • メディア: 単行本
 

 この二冊とも、腰痛が「心的要因」で起こっていることを紹介しています。

 

・・・

 

私はひらめいたので、私の隣に座っていたT本君に、

「実際の臨床時のように問診してください」と伝えました。

 

T本君がH君に問診すると、H君は「実家で食べ過ぎたかも」とか「どこそこに痛みがあり」「何とか筋とか何とか骨のあたりが云々」と、今、自分が感じている「外的な症状」を色々述べました。まあ、いっぱいあるもんです。

 

私は、何に閃いたかというと「心因性」という言葉でした。

また「怒り」というキーワードも浮かんできました。

 

「外的症状」を一旦全部吐き出して貰った後、私は「ここから、操体の臨床、つまり、からだに触れずに、言葉を用いた臨床を始めます」と、受講生達に伝えました。

 

その後、私がやったのは、

「H君の隠れた怒り」を、質問と会話のやり取りによって、解放したことです。

 

ちなみに「怒り」は、人に向かってキレるとか、対外的に暴力を振るうとか、他者に迷惑をかけるのはよくありませんが、「怒り」を「ないもの」として封印するのはもっと良くないのです。別に外に向かって「キレなければ」いいのであって、怒りという感情に光りを当てることなんです。

 

どうやったか、というのは、質問して、傾聴しただけです(もうちょっと他の手も使いましたが)。

 

終わってから、H君の背中の痛みは消えて、表情も明るくなっていました。

 

「嫌われてもいい」

「相手がやるよりも自分がやったほうが早いから、つい自分がやってしまう」←

これ、私も昔やりすぎて壊れそうになったので、よくわかります。

しかし「自分がやった方が早いよね」と、後輩に回さないと、後輩が育たないことがわかったので、自分よりもスピードが遅くとも、後輩に回すことを覚えました。

 

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 今更感もありますが「嫌われる勇気」は、参考になります。

 

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 そして、悩みとは無縁(敢えて言えば、ご主人様がハグして離してくれないのが悩みと言えば悩み)のりんちゃん。