その昔、三浦寛先制と、操体で言うところの「般若身経」(心、ではなく「身」です。橋本敬三先生が、真理を説いた短いお経になぞらえてユーモアを込めて命名したもの)を、動画に撮ったことがありました。
その時、改めて三浦先生と般若身経について深掘りしました。
その際に「膝をほっとゆるめる」ことの効用や、膝をゆるめないと前屈した場合に首が前傾しない(おへそをのぞけない)とか、改めて「なるほど~」と思ったことを思い出します。
さて、東京操体フォーラムでは、この「般若身経」をかなり以前からしつこく?深掘りしてきました。
というのは、大抵の人は「簡単じゃん」と思っているけれど、実際にやってもらうと、まずできていないからなのです。
かくいう私も最初は「ふ~ん」という感じでしたが(汗)、かなりいい加減にやっていた気がします。
そして、般若身経自体も「中心集約運動」から、私の手元にある、橋本敬三先生が三浦先生に渡したという「中心集約運動」の別バージョン(「誰にもわかる・・」とは別)、「万病」に掲載されているものと「からだの設計」に乗っているものも、かなり違います(膝の力をホッとゆるめる、という文言が入ります)
1.中心集約運動(かなり鍛錬っぽい)
2.般若身経(膝の裏筋をホッとゆるめるという明確な記載なし)
3.般若身経(膝の裏筋をホッとゆるめるという明確な記載あり)
3-1 ※東京操体フォーラムでは「クラシックバージョンと呼んでいる)。手は水平に広げず、自然な感じで行う。
特徴:腰を要とし、腰から動く。例外として捻転のみは、足(母趾球)から。
4.利き手を考慮した般若身経(右利きと左利き。今は殆どやらず)
5. 利き手に拘わらず、左手を中心としたもの(東京操体フォーラムでは、半歩前足バージョンと呼んでいる)
特徴:腰からではなく、末端(母趾球)から動きが始まる。
★末端から、というのは、昔三浦先生が、橋本先生から「からだの動きは、本当は腰からじゃなくて末端からなんだよ」という話を伺って、編み出されたものです。
医道の日本社から出版された「操体法入門」は、何故か操体関係者よりもスポーツ関係や、その他の手技療法関係の方に注目されました(韓国では海賊版が出たりした)。
こちらは、腰始動ではなく、末端の手関節、足関節からの全身形態の連動を説明したものです。
当初、操体関係者は「患者の動きはみんな違うじゃん。連動はきまってないよ」的な言い方をしましたが、それはちょっと違う。
「この自然な連動(間違った連動、ではなく、自然な連動)は、ボディに歪みがない場合に再現される」ものであり、
「症状疾患をかかえた方は、ボディに歪みがあるので、自然な連動が起こりにくい」
「ボディの歪みを正すと、自然な連動が再現される」のです。
6.第五分析(新重心理論)に適った般若身経。
(こちらも進行形でいくつかバージョンあり)
★もう、第五までいくと、今までの操体の常識がぶっ飛びます。公開まではもう少しお待ちください(フォーラムなどでは、三浦先生がぽろっと話してくれることあり)
一般の方、あるいは自力自動の操体を覚えたいという方は、3-1と5がいいと思います。
最初に3-1で基本をからだに覚えさせ、5をマスターすると、腰からからだを操る方法、と末端からからだを操る方法を体得できます。
で、この「体得」なんですが、いままでのからだの使い方とは違います。
なので、すぐできるとは限りません。
私や、東京操体フォーラム実行委員でさえ、最初は時間がかかったのです。
からだが覚えるには、ちょっと時間がかかります。
気が緩むと、つま先が開いているとか、よくあります。
右手で物を拾う時は、左足を前に出して拾うと、からだに歪みを作りません(腰をいためたりしなくなる)が、私とて最初は、モノを拾おうとして、うっかり右足を前にだしちゃったりして「おっと」と、仕切り直し(仕切り直せばいいんです)たりしていたのです。
いいですか、からだが覚えるには、時間がかかります。
こういう時「常にその姿勢をとらなきゃいけないんですか」と聞く人が必ずいます。
そんなことはありません。
その姿勢をとるべき時にやればいいし、気がついたら直せばいい。
正座の練習をする場合、一日正座をしているわけじゃないですよね。
正座の練習は、正座するときにしっかりやればいいんです。
それ以外の時間は「からだが覚えてくれる」のです。
練習する時間も大事ですが、無意識に委ねる時間も大事にしましょう。
一生懸命からだで学習したら、あとは無意識に任せる。
そうすると、からだが覚えてくれる。
この「無意識に任せる」というのが大事です。
「あれ?いつのまにかできてる」ということになります。