操体を自分でやろう!と思った場合、
1.今は何も問題がなく、健康維持増進のために操体を体得したい
2.どこか調子が悪いところがあるので、操体でメンテナンスして自分で治したい
主にこの2つが考えられると思います。
この2つ、実は違います。
それと同じで、操体の指導者になるのと、操体のセルフケアを自分でできるようになるというのは、全く別のことです。
操体の指導者(治療家)になりたいのであれば、数年間しっかり勉強して下さい。
なお、私はよく受講生に言うのですが、
操体を学ぶということは、2つの道があります。
1つは、第一分析(楽な方に動かして脱力)にとどめ、「快」(第二分析以降)には手を出さないこと
もう一つは、第二分析以降もしっかり勉強し、沼にはまることです。
上澄みでいいなら上澄みの(楽)だけやって、「快」には手を出さないことです。
ここで、欲張って手を出すので「楽な方に気持ちよく」とか「きもちよさを探す」とか「どっちがきもちいいですか」のように、誤った「快」の解釈をしてしまうのです。
この、解釈の誤りが「操体ってわかんない」に繋がっています。
あ、これは操体指導者の話でしたね。ついつい(笑)
ここでは
普通一般の方は、操体をはじめてやる場合のヒントをご紹介いたします。
先程
1.今は何も問題がなく、健康維持増進のために操体を体得したい
2.どこか調子が悪いところがあるので、操体でメンテナンスして自分で治したい
の2つを挙げましたが、2のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
つまり、セルフケアの前に「まずは治してからね」というケースです。
そして、これが操体の特徴。
操体は、何故か人生を変える。
操体は、何故か人生を変えます(私も変わった)。
それは「快・不快」をききわけ、選択する力がつくからだと思います。
操体は、一生モノの財産である
操体の特徴で、あまり知られていないのが少し残念でもあるのですが「からだをこわしにくい、つかれにくい、使い方・動かし方」を体得することができます。
使い方、動かし方がわかっている、ということは「なんとなくだけど、治し方や、元に戻す方法もわかる」ということになります。
これは一生モノの財産です。
操体は、反復と継続である
一生モンというのは本当です。
思い出す話があります。私が駆け出しの頃、操体を受けに来ていた方で
「操体を一度受けて良くなったら、もう二度と悪くならないんですか」
と、真面目に聞いてきた人がいました。
う~ん、使い方が悪かったらダメだね!
人間、からだを使えば(使い方が分かっていれば、消耗の度合いは軽く済みます)、疲れるし消耗します。
操体を使うのは「消耗したり使いすぎたりした場合のメンテナンス」です。
1日からだを使ったら、ちゃんとメンテナンスする。それを続ける。
勿論たまにはサボるかもしれないけど、続ける。
顔を洗って歯を磨いて着替えをする。それと同じです。
ちょっと違うのは、操体は「きもちよさ」というご褒美がついてくるので、「今日もやろうっと」というモチベーションが湧きやすいのです。
最初から「お!これはキモチよさがある!」という方もいますが、大抵の方は、自分の感覚に注意をはらう習慣がないため、まずは「感覚の勉強」をします。
「きもちのよさ」を味わえるようになるには?
操体(第二分析以降)は、ターゲットが「楽(な動き)」ではなく「快(感覚)」になってきます。感覚の世界に入るので、それはひとそれぞれです。
「快」というのは、それまでの人生経験や、性別、年齢などにもかなり左右されます。
ちなみに、きもちのよさを味わえるようになる、1番の近道は「質の高い操体における快」を、操法を通じて受けることです(やっぱり最初はプロにやってもらうのが、ショートカットです)。
1番は「足趾の操法®」を受けることです。
わたくし、個人的にはこれが「万病を治せる妙療法」ではないかと思っているくらいで、診断と治療と癒しを一辺にできちゃう。すごいんです。
そして、もうひとつ、これは操者の秘密なのですが、足趾の操法というのは、受ける側だけではなく、やる方(操者)も、何故か元気になるという操体ならではの現象も起こります。
操体の指導者(施術者)は、相手の感覚の領域にまで関与するため、その辺りはしっかりトレーニングします。
これをやっていない人が「楽な方にきもちよく動いて(楽と快の混同)」とか「どちらがきもちいいですか(楽な動きは比較対照できるが、快は感覚なので比較対照しにくい)」とか「きもちよさを探して(動診@診断と操法@治療を混同している)」ということを言ったりします。
再三言いますが、私は操体でなければ、文句は言いません。しかし、操体指導者で、このようなことを言う方は、ちゃんと勉強しなさいと言います。
- 「楽な方にきもちよく動いて」(楽と快の区別がついていない)
- 「どちらがきもちいいですか?」(楽と快の区別がついていない)
- 「きもちよさを探して」(動診と操法、つまり診断と治療の区別がついていない)
この3つが出てきたら、要注意です。
また、「心地よさ」という言葉で誤魔化している場合もあります。
これは、操体の動診で「快」を提供できないので、「心地良い」という「快」の度合いではちょっとランクが下の言葉を使っているのです。
これらは、操体における「楽と快の違い」「動診(診断)と操法(治療)の違い」という、操体の第二分析におけるキモがわかっていないということです。
しつこく書いていますが、はじめて操体をやってみたいとか、受けてみたいという場合は、本とか動画ではなく、実際にプロの指導を受けるのが、急がば回れの早道だということなのです。
もし、アナタが、どこかに症状をかかえていて、それで操体をやってみたいと思うのであれば「健康体操」「養生法」的に操体をやっているところではなく、実際に「操体の治療」や、「操体臨床」をうたっているところで、まずは「セルフケア」をできるレベルまで調整することをお勧めします。
健康体操は「ある程度元気で動ける人が、これからも元気で過ごせるように」というのが目的です。つまり、元気な人が対象なので、どこか痛いとか辛いという人向けではないし、施術や治療、操体臨床(操体治療の現場)ではありません。
健康体操の先生は、健康指導はできるけれど、からだを壊しており、セルフケアができるような、健康度合いの人の治療や施術ができるわけではありません。
よくあるのが、健康体操教室的な操体指導教室で「腰痛を治して欲しい」とか「膝が痛いのを治して欲しい」と、健康体操のセンセイにお願いするというケースですが、これは、責任過多というものです(そういう話は結構ききます)。
しかしながら、操体のプロは、操体の治療・施術も可能ですし、健康体操的・養生的な指導もできるのです。だからプロなんですけどね。
なので、まずは操体のプロのところに行くのが近道なんです。
というわけで
施術+ベーシック講習 | 操体法の講習 | 操体法 TEI-ZAN操体医科学研究所
2023年春季フォーラム | Tokyo Sotai Forum
そういえば、腰痛体操ってありますよね。
あれ、腰痛を治す体操ではありません。腰痛にならないために筋肉をつけるとか、体幹を鍛えるための体操です。
ひどい腰痛の人が、腰痛体操をやったからといって、腰痛がなおるのではありません。
まずは腰痛を治してから、腰痛にならないための筋力や筋肉をつけるためなんです。