操体の効用とは?
つらい症状疾患を改善するのは勿論なのだが、本来操体は『未病医学』として『健康の基礎をつくる』という目的がある。
操体:息食動想+環境と橋本敬三哲学を含んだ一つの大きな体系
操体法:橋本敬三医師が実際に臨床で行っていたもの
操体と操体法の違いをざっと挙げてみた。操体法とは、実は「操体」の一部分なのである。橋本敬三先生は「治すことまで関与するな」「治療など下の下だ」と言われたが、これは、病気になる順番と治る順序を考えればいいことで、『息食動想』(人間が生きてゆくための自己責任、最小限責任生活)のアンバランスがボディーの歪みを引き起こし、それが症状疾患となる。
なので、病気を治すにはこの四つのバランスを整えればいいので、「治すことまで関与するな」なのである。
この四つの営みは同時相関相補連動性という関係で成り立っているので健康に生きるには「息食動想」の『動』の部分だけ取り出してやってもダメなのである。また、自分に当てはめても納得行くのだが何か病気になったり調子が悪くなったりする時は、この4つがアンバランスになっている。怪我や事故でさえ、『想』(精神活動)の点で関わっていたりする。
なので操体では「息食動想」のどれか一つだけやるより、この四つのバランスを見なさいと言っているのだ。
話は戻って、操体の効用とは?
橋本先生も言われているが、何でもコツを掴むのが上手くなる(のだそうだ)。私もこれに関してものすごく自信があるわけではないのだが(笑)からだの使い方動かし方(エクササイズのモトとなる)を会得体得するので上手くなるのは当然である。
これは操者(指導者)の効用であるが、操体指導を日常的にやっていると、からだのコアの部分を知らず知らずに使うので、結果的にスリムになる。以前『月刊手技療法』にも書いたが、食事制限なし、好きなビールもやめず操体を日常的に続けていたら10キロ以上スリムになったという男性が少なくとも周囲に7名いる(当時より一人増えた)。この話をすると『どれくらいで効果が出るのか』『何回やればいいのか』と聞く人が必ずいるが、これはやせようと思っていたというより、息食動想のバランスを念頭にセルフケアを定期的に行い、きもちよさを十分味わうというサイクルを繰り返したためだ。半年も続くかと心配になるかもしれないが『きもちのよさ』が聞き分けられれば続くものである。
逆に言えば、操体から離れていたりやっていなかったりすると、それはカラダに如実に現れる(事実です)。これはちょっと怖い事実だ。
あと、現役(総合格闘技)を引退して更に強くなったというツワモノ(某T氏)もいる。体重も相当落ちた(自然に落ちたらしい)のにである。
中には「操体で髪の毛が生えてくるか」という実験に挑んでいる方もいる。本当に生えてきたらこれはエラいことである。伸びたら本人は「アフロにします宣言」をしている。
そういえば、私のクライアント(女性)が、体重は変わっていないのに、近所のヒトやコンビニの店員さんにまで「やせた?」と言われたという方がいる。私としては『何だかキレイになったな』と思ったので納得がいった次第である。
また、操体をやっていると絶対からだを壊したりしない、ということはないがたまにどこか痛んだり調子が悪かったりしても、臨床のチャンス(自分で自分をケアする)だと思ったり、からだのサインだと思うようになった。原始感覚が磨かれるので本当に危険な場合は直感的にわかる。
そうだ。原始感覚(快不快をききわける力)は磨かれる。勘もするどくなる。五感の訓練にもなる。