操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

講習日記。

膝の裏の凹んだところを「膝窩(しつか)」という。ひかがみとも言う。



また、ボディの歪みが一番反映されるところなので、何かしらの症状を抱えている場合、ここに異常がない、ということはまずいない。人によって様々だが、触ると大抵は何かある。



触診の練習にもよく使われる。



練習の時ならいいが、あまり長いことぐりぐりやっていると、被験者に

いやがられる。

さっとやるのもコツのうちだ。





膝の裏には腰痛に効くと言われている経穴があるので、それに詳しい方は、つま先を上げて、力を抜くのはそのツボを刺激しているんだ、とも言う。

もしかしたらそうだったのかもしれない。

いずれにせよ、足背(そくはい)に手掌で介助抵抗を与えて脱力させ、

ひかがみの圧痛・硬結を解除するという操法が存在したのである。



それが人に伝わるにつれて、『腰痛にはつま先を上げればいい』という、超短絡的な考え方が派生したように思う。

(よくなることもあるが、ならない場合もある。硬結が解消しない場合もある)



つま先を上げる、つまり足関節の背屈をしなくても、ひかがみの硬結が解消する動診と操法ももっと他にある。



また、実際にやってみればわかるが、つま先を上げただけでは、気持ちよくも何ともない。つま先を上げただけだから。

末端関節局部だけを動かしても快適感覚は味わえない。



つま先を上げるに従って末端から腰を介して全身形態が動いてくるから、ひかがみの圧痛が解消するのだ。勿論きもちよさは必要。



また、膝窩の触診では、圧痛に触れた時に起こる逃避反応を見ていることもある。

これを見て、何気ない動誘(動きを誘い込むこと)をかけたりする。逃避反応は

無意識の動き、つまりからだがそちらに行きたがっている方向を無意識のうちに教えてくれている動きだから。



※今日のポイント

・ボディの歪みには快か不快がつく。楽なのはバランスがとれているからだ。

・からだに歪みがないからきもちいいのではない。歪みがあるからきもちよさ(あるいは不快)を感じるのだ