この本は、農文協(農山漁村文化協会)という社団法人から出版されている。
現在も40刷以上増刷され、馴染み深い、いわさきちひろ氏の表紙から最近は文字の大きな愛蔵版も出ている。おそらく、操体の書籍の中で一番世にでている本だと思う。
- 作者: 橋本敬三
- 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
- 発売日: 1978/06
- メディア: 単行本
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- 作者: 橋本敬三
- 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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ここに書かれているのは、『現代農業』という農文協から出ている雑誌に掲載されていたものをまとめたものだ。つまり、書き下ろしではない。
橋本敬三先生の著書はこの他にも何冊かあるが、全て書き下ろしではない。他は、医学雑誌や医道の日本誌などに投稿したものを編集したものである。
『地湧きの思想』(柏樹社)という本がある。同名のシンポジウムを一冊の本にしたもので、橋本先生もシンポジストとして出席された。
そこで語っているのが、本というものを一冊書くのは大変だと思っていたが、『現代農業』に連載していたものを、出版社がうまく一冊にしてくれた、とか、本のタイトルは自分では決められないものだ、など。
ちなみにこの本は『操体的ライフスタイルの紹介』というのがテーマである。
息食動想という大切なこと。生きていく上で、最小限の責任を負わなければならない4つの事項について、分かり易くかかれている。
この本について、声を大にして言及したいことがいくつかある。
本には『楽なほうに』、『息を吐きながら、瞬間脱力』『二回から三回』とある。
85歳を越えてからの橋本先生は、操体を学びに温古堂に来ていた人達に、
『楽ときもちの良さは違う』
『動きよりも感覚の勉強をしなさい』
『呼吸に意識を置きすぎると、感覚のききわけができなくなる』
と言われている。
また、今先生が、『これ(万病)に書いてあること、ちがってますよね』と聞いたところ(回数は二回〜三回と書かれていますが、患者さんの気持ちよさに従っていいんですよね?ということ)『そうだ』と答えられたと聞いている。
つまり、『現代農業』に連載していた時は『楽な方に』『息を吐きながら、瞬間脱力』『回数は二回から三回』という考えだったのだが、その後、『きもちよさに従う』というように変化があったのだ。
残念ながら、このことを多くの人が知らない。なので、本書を読んで「操体って、楽な方に動かして、瞬間脱力させるんでしょ」と、思いこんでいる人が非常に多いということだ。
これは私達操体臨床家にとっては、ぬぐってもぬぐっても後から湧いてくるようなもので、やっかいでもある。
基本運動(般若身経)も、少し訂正が必要なところがあるのだ。
何とか訂正、改正をしていただきたい、もしくは当時のままではなく、注釈などを入れて再出版してほしいものだと思う。