操体法関連
「操体臨床の要妙」(三浦寛著)たにぐち書店)は、アマゾンで検索しても出てこない。何故ならISBNコードがないのだ。
近頃珍しいハードカバーの本。これを元に作ったビデオもある。
先日「快からのメッセージ 哲学する操体」をご紹介したが、こちらのほうが易しく書いてある。こちらを読んでから「快からの・・」を読んでもいいかもしれない。
イラストは大きく描かれているし(イラストは著者本人)、写真も豊富だ。
渦状波(カジョウハ)に関しては「快からの・・」よりもページ数、写真数を割いてある。
巻頭の膝窩(シツカ:ひかがみ)の触診の仕方の詳細は、操体を志すものにとっては、(膝窩の触診は、操体臨床には不可欠なのだ)とても勉強になると思う。
他に特筆すべきは、操者が受け手の後ろに座し、上肢の伸展を行う動診(先のビデオのジャケット参照)だが、現在この動診が通せる人間は何人いるのだろう。これは上肢の動診の中でも難易度の高い部類に入ると思われるが、実際の動診を間近で見ると『ああ、自分もやってみたい!』と思わずにはいられないのではと思う。
また、よく知られている割には、正しい介助法が伝わっていないような、被験者が伏臥位での、下肢屈曲位から伸展の動診が、バリエーションを交えて紹介されている。どうしても最初は脇がしまらず、伸びてくる下肢が外側にぶれてしまったりすることもあるが、このポイントも押さえておきたい。
ここで、もう一冊の本を紹介したいと思う。
「老子」。
あの「老子」のことだ。
『要妙』というのは、『老子』からきているという。
『要妙』というのを英語にすると secret。
Secret of SOTAI
secretというと、「秘密」「機密」という意味を思い浮かべると思うが、
秘伝{ひでん}、秘訣{ひけつ}、こつ、極意{ごくい} 解決{かいけつ}の鍵自然界{しぜんかい}の不思議{ふしぎ}、神秘{しんぴ}
というような意味もある。
この本が出てからほどなく、松岡正剛さんに、編集学校を卒門(卒業)した記念に、卒門生が揃って「カンモンノメイ」(卒業式みたいなものですね)に参加した。その時、選んでいただいたのが「老子」だった。(一人一人に本を選んで渡して下さったのです)
いただいてから、何気にページをめくると、いきなり目に飛び込んできたのが『要妙』という文字。
私がどんなに驚いたか、想像がつくと思うが、私の回りにはこんな偶然が結構あるのだ。(偶然ではなく、必然だと思っているが)