操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体法の実際

写真が載っていて「この症状にはこの操体法」という一覧表がついているため、初心者がまず手に取る割合が多い本だ。

写真 図解 操体法の実際 (健康双書ワイド版)

写真 図解 操体法の実際 (健康双書ワイド版)

余り大きな声では言えないが、実際にお金を頂けるの臨床には使えるかどうか。家庭内などで家族の健康ケアのためにやるのだったら大丈夫かもしれない。

また、著者の方(茂貫氏)に何度かお会いしたことがあるが、現在はこのようなスタイルの操体はされていないはずである。(多分)

この分類は著者が温古堂(橋本敬三医師が主だった診療所)にあった大量のカルテを統計的に分類し、こういう愁訴にはこういう操法をしていた「ことが多い」というデータから作られたと聞いている。

確かに痛みや辛さを抱えている人にとっては「この操法をやればいい」というのは心強い。

しかし、本来操体には「症状疾患にとらわれない」という大前提がある。
勿論、長年やっていればおおよそのコツとか、こういう時はこうした方がいい、というノウハウは持っているのである。ノウハウというか、カンというか。そういったものが培われてくるのだ。


実際、私も本を出した時(ふわくにゃ)、肩こり、腰痛、膝痛などの分類をする必要に迫られた。本は流通品であるから、読者の購買欲をそそるにはそのような事をしなければならない。(私の場合も、どの「症状」向けの操法も殆ど同じである・・。紹介した操法の数が少ないせいもあるが)

以前、スポーツプログラマのライセンス更新研修で、操体を取り入れた老人向けの体力増強プログラム(名前を失念した)に参加した。このプログラムは「楽な動き」と「快適感覚」を混同せず、体力増強プログラムらしく「楽な動き」「動きやすいほう」に徹底していて、老人向けプログラムではあったが、「からだを壊さないように、体力を増強する」という点では、やっていても面白かった。

それはさておき、ロッカールームで着替えていて、ある女性が
操体法って、本をもってるんだけど」
「青くて写真が沢山のってるヤツ」←本書のことである

「今日やったのが操体法なんだね。やっとわかった」

・・・・・今日やったのは「操体の考えを取り入れた、体力増強プログラム」だよ。
・・・・・操体っていうのは「快適感覚をききわけ、味わう」ものなんだよ

と思ったものだった。

なお、本書は発売当時「操体法実施施設一覧」というリストが載っていたそうだが、実際操体をやっていないところが多く、クレームが多発したため、削除されたという。(私が持っている古い本などは、「目次」に「操体法実施施設一覧」と書いてあるが、実際一覧は載っていない)

なぜ、こういうことが起こるかというと、本を読んだとか、ちょっと見ただけで「操体法実施施設」を名乗るところが多く、実際患者さんが操体を受けたくて行っても操体を受けられなかったということらしい。書くならちゃんとやってほしいものである。