操体法大辞典

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松岡正剛 切ない言葉 セイゴオ語録2

昨日に引き続き、松岡正剛氏の「語録」の2冊目。「危ない言葉」とは同時発売になっている。二冊眺めていて楽しいのは、口絵の松岡氏の写真である。確かに「危ない言葉」のポートレイトはちょっと内に秘めた、余り最近見ないような表情で、「切ない言葉」は、片手を頬に当て、目を閉じた表情である。この2枚の写真は中道淳氏によるもの。

切ないとは、寂しさや悲しみなどで胸がしめつけられるさま。つらくやるせない気持ち(語源辞典より)のことを指す。ここで松岡さんが書いているのは、寂しいとか、胸が詰まるとか、きゅん、とするような感じではないかと思う。

新潟では、「せつない」は「痛い」とか「肉体的に苦しい」時にも使うらしい。新潟出身の年配の方が、たまに「腹がせつない」とか言っているのを聞いて「?」と思った事があるが、「切ない」ではなく「せつない」らしい。ちなみに新潟出身の女の子に「私、せつないの・・」と言われてもだまされてはいけない、と書いてあった(笑)。

本著の中で、一番印象に残ったのは、湯川秀樹氏の話である。松岡さんは湯川秀樹博士に私淑していたそうだが、湯川博士の晩年、色々話を聞いたらしい。

私淑:直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと。「―する小説家」

湯川さんはぼくにとんでもない告白をしたことがある。
それは「科学者というものは、女の足の指を舐めるようなところがなくてはあかんのです」というものだ。ぼくはこれを聞いたときは絶句し、次に気をとりなおし、「あのう、その、女の足の指を舐めるって、谷崎の・・・・」と言ったところで、またしどろもどろになった。湯川さんはそんな当方の困惑を無視するかのように、「そうです、谷崎です」と言明した。おまえは谷崎を知らないのかというふうに。

これは、湯川さんが別に足フェチだったとか、そういうことではないので、ご参考はこちらへ
松岡正剛の千夜千冊『創造的人間 湯川秀樹