操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体の効き目は漢方薬のようなもの。抗生物質的な効き目を期待しない

 接骨院や整骨院でも「操体をやっています」というところがある。しかし、同志を見ると「操体は実費」というケースのほうが多い。保険対応で操体、という場合は、痛いところに手をかけて、楽な方に動かして瞬間急速脱力、という第1分析をやっている場合がほとんどだと思う。
第2、第3分析、それ以降の進化した分析を行うのだったら、保険治療では点数の問題や時間で不可能だからである。

以前は私のところに電話をかけてきて「保険効かないんですか」とか「そんなに高いんですか」
(そんなに高くはないと思うが、高い安いは本人が決めることなので何とも言えず)という方がいた。

最近感じるのは「手っ取り早さ」を求めている方が多いんだな、ということだ。初診時はまず「診断(分析)」がメインで、そこで方針をたてる。そこから快癒にむけてすすめていくわけだが、「一度で劇的に良くなる」という期待をしている方が多すぎる。
初回はあくまでも「診断」である。操体の臨床に限らず「診断」と「診立て」が成り立たないと、単なる「慰安行為」になってしまう。
操体の臨床は90%が「診立て」にかかっている。

「診断(分析)」したんだから、これからですよ、というのではなく、操体に対して瞬間的な効果を求めてくるのだ。
私は「瞬間的」もできるし「凄く痛いけど即効性あり」というのもできるが、敢えてやらないのは、クライアントの皆様には痛い思いをしてもらいたくないというのが本音である。本人はラクに簡単に良くなりゃいいやと思っていても「からだ」はきもちよく治りたいという希望があるからだ。

なお、瞬間的に治すというのは抗生物質のようなもので、その時は劇的に効果があるし、怪我や手術などには無くてはならない。
漢方薬はじわじわと効いてくる。その違いをわかっていただけるといいなと思う。

婦人科系でも、ホルモン剤は怖いと言って漢方治療を選ぶ方も多いが、そういう人に限って、何故か操体では「劇的なホルモン剤的効果」を求めるのは何故だろう。操体は「漢方薬」みたいなものだと思っていただければな、と思う。操体を一回(それも診断)を受けただけで筋腫がなくなるとか、そんなことは起こらない(もしかしたら起こるかもしれないが、それはご本人の潜在意識などに関わってくるのではないか)。

診立てが成り立っていれば、そんなに頻繁に通うこともない。今年に入って側湾症の女の子(中学生と小学校高学年)を何人か診たが、最初は週に一度、その後はだんだん間を置くようになり、一ヶ月後くらいには、セルフケアを覚えてもらって、一ヶ月か二ヶ月か、たまにメンテナンスに来る位だ。

よく、発展途上国にお金をあげるが、お金をあげると「お金を下さい」という要求がメインになってしまう。

魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教える、農作物をあげて援助するのではなく、農作物の育て方を教えるのが一番親切だし、後々まで役に立つ。

「手軽に行けてその時ラクになればいいや」という慰安的行為も必要なのかもしれないが、
診断(分析)と治療があってこそ、臨床が成り立つ。

慰安と臨床の違いは「診断(分析)」があるかないかである。

なお、今年の春は花粉症に悩まされた。勿論手は打ったが昨年の5倍の花粉が飛んだという事実にはからだが反応した。

私はかかりつけのクリニックで漢方をもらって飲んでいた。それを知人に言ったところ「漢方って効かないでしょ」と言われた。そんなことはない。服用後、10分もすると「あ、ハナ止まった」と実感できる。

抗生物質的な効果を求めるのか、漢方的な効果を求めるのか。

個人的にはうまく使い分けてくれればいいなと思っている。
操体の治療所なり研究所は、飛び込みというよりは「完全予約制」のところが多い。何故ならそれだけ「そのクライアントに集中して診たい」という理念があるからだ。また、リラクゼーションサロンのように、街中に何軒もあるわけではない。東京都内にせよ、操体専門でやっているところは数少ないのだ。