操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

読書日記@202101

 「死に至る病」といえば、キェルケゴールだが、これは「愛着障害」について書かれた本である(キェルケゴール、ポー、太宰治三島由紀夫も登場する)。

 私がここで気になってメモしたのが、

人を幸福にする、生物学的な三つの仕組み (98ページ)である。

(赤字マーカーは畠山による)

 

 一つは、お腹いっぱい食べたり、性的な興奮の絶頂で生じるもので、エンドルフィンなどの内因性麻薬(脳内麻薬)が放出されることによって生じる快感だ。生理的な充足と深く関いし、われわれが生きることに最低限の喜びを与えてくれる。


二つ目は、報酬系と呼ばれる仕組みで、ドーパミンという神経伝達物質を介して働いている。大脳の線条体側坐核と呼ばれる部位で、ドーパミンの放出が起きると、人は快感を味わう。ドーパミンの放出が起きるのは、通常、困難な目的を達成したときだ。サッカーのゴールの瞬間や、麻雀でロンをした瞬間にドーパミンが放出され、「やった!」という快感になる。数学の問題を解けたときとか、マラソンを完走したときも、このタイプの喜びが生じることにより、再び努力して、次の目標を達成しようというモチベーションが生み出される。
ところが、この報酬系は、しばしば悪用される。面倒な努力抜きで、ドーパミンの放出だけ引き起こし、短絡的な満足を与えてしまえば、強烈な快感を手軽に得られるのだ。
その代表が、麻薬である。アルコールのような嗜癖性のある物質も、ギャンブルのようなやみつきになる行為も、ドーパミンの短絡的な放出を引き起こすことで、依存を生じさせる(麻薬の場合には、内因性麻薬の放出を伴う場合もある)。
実は、もう一つ、喜びを与えてくれる仕組みが存在する。もうお察しのことと思うが、それが愛着の仕組みである。こちらはオキシトシンの働きに負っている。

 

「人間に喜びを与えてくれる仕組みは、実はこの三つしかない」のである。

 

操体で味わう「快」は、一体どれなのだろう。

 

こうやって考えてみると、人によっても違うような気もしないではない。

例えば、私のように勝ち負けにあんまり興味がないとか、麻雀しないとかいうのと、麻雀で負けると逆に燃えるとか、サッカーをやる人とでは、多少違うのでは思う事もある。

操体における「快」は、ひとからげにできるものではなさそうだ。

この辺りは、またじっくり考えてみようと思う。