操体・操体法・講習日記
仰臥位、膝二分の一屈曲位における足関節の外反。
今日の講習は二週間前の復習の、伏臥位での足関節の内転、外転を最初に行った。
この介助法は数多い介助法の中でも難易度が高いと思われる。
慣れないうちは両手を使わねばできないが、これを片手で決めることができると
かっこいい。カッコイイというと語弊があるかもしれないが、動診・操法の際の
操者の立ち居振る舞いの美しさは非常に大切なポイントだ。
こういうことを言うと『そんなこと言っても、受ける人が良くなれば関係ないじゃん』という声を聞くこともあるが、経験的に上手い人の動診・操法は見ていて美しい。
たまに、動診・操法の美しさと臨床的効果は比例するのでは??と、思うこともある。
一番の理想は、操者と受け手が存在する場合、どちらがセンセイでどちらがカンジャかわからない位、お互いの調和がとれていることらしい。
私が初めて師匠の臨床を見学させていただいた時、ウワサには聞いていたが、『患者が舞を舞っているようだ』という話はやはり本当だった、と思った。それほど衝撃的だったのを覚えている。
この伏臥位での足関節の内転、外転の何が大切かと言うと、最初の介助でのキメで動診が決まってしまう。つまり、この『キメ』に失敗しては
いけないのである。私もこれは最初難易度Eクラスだな、と思った。
何度かブログに書いているが、「Fコードの法則」あるいは総合格闘家で同門の平直行氏言うところの「ある日できるの法則」なのだ。
ギターを弾いたことのある人は知っていると思うが、Fコードは最初音がでない。
私も指の皮を何回か剥いてから、ある日力を入れずに弾いたら、大きな
音が出た。それまで力一杯押さえても出なかったのに、ある日、弾けるようになったのである。中学一年の時、二ヶ月間毎日四時間練習していて、の出来事だった。
平氏によると、中学か高校時代、技の練習をしていて、やはりある日突然できるようになる事を発見し、「ある日できるの法則」と命名したという。
この足関節への介助はまさに「ある日できるの法則」なのである。
自分もこれは練習した。人の足を借りることができない場合には、イメージトレーニングとシャドウで練習した。人間はイメージできない事は体現できないから、イメージトレーニングは重要だと思う。
このためにも、模範となる実技をしっかり見て、その雰囲気を掴むことも必要だ。
とにかく、伏臥での外反、内反はびしっときまるとカッコイイのである。ひたすら練習していたら、ある日できるようになった。
受け手の右足を内転位に決める場合、
操者はまず、右手で足底と足背に介助を与える。それで不十分な時は空いている左手で踵に捻りを加える。ここで上手く決まれば、受け手の腰まで動く。この時のポイントは、足関節が、どのように動いてくるのか、動きのベクトルはどうなっているのかということと、皮膚への触れ方だと思う。また、慣れないと足底と足背を決める前に踵に介助を与えてしまうので、十分に決めることができない。
まずは、足底と足背を決めてから、踵、という順がある。
慣れると殆ど同時にできるが、慣れないうちは動作を分けて考えた方がいいのではないだろうか。
上手く決まらない、という場合を見ると、殆どば動きの方向を誤っているか、足底足背を決める前か、あるいは同時に踵に介助を与えている場合が多い。
その次は足関節の内反、外反の続き。
前回は腰掛位での内反と外反をやった。今回は仰臥位下肢伸展位での外反から。
これは操者が断然格好良く見える操法である。
(前回、東京操体フォーラムでは、実行委員長の岡村氏が実技をしたが、実に決まっていた)DVD「操体法入門」(医道の日本社)では、岡村氏の華麗なる実技を見ることができる。
患者役は師匠である。
尚、このDVDには私も患者役で出演しているが、私が師匠から受けているのは仰臥膝二分の一屈曲位での足関節内反、外反だ。
内反、外反という動きは普段あまり意識されないし、自分でやることは
あまりない。しかし、それだからこそ、非常にきもちよさがききわけやすい動きだと思う。