操体法大辞典

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操体で膝の水が抜けますか?

と、聞かれた。



う〜ん、操体は症状疾患にとらわれないのだが、聞いてきた方は明らかに膝に水がたまって困っているのだ。



物理的に針を刺して抜くなら「抜いたら抜けますよ」なのだが、私は針を刺して膝の水を抜くことはできない。当然、操体で膝の水が自然吸収されるのかどうか問われているのである。



「抜けると思いますよ」というしかないのだが、操体では何故「症状疾患にとらわれない」かというと、膝が悪いから水がたまっているという認識をしていないのである。



膝に水がたまっているというのは、息食動想のバランスが崩れた結果であり、膝だけが悪いのではないと考える。



逆に考えれば、「息食動想」のバランスを整えれば良くなるのである。このバランスは「同時相関相補連動性」と言ってお互いに深く関係しており、どれかが良くなると他のバランスも整ってくるのだ。



また、この「息食動想」の営みは「最小限責任生活」と言って、生きていくための自己責任である。つまりこの4つは誰か他人には代わってもらえない、一生続く営みであり、かつ自分でコントロール、自律が可能な営みだ。



例えばこの質問者が、食の不摂生によるオーバーウエイトで、膝に負担をかけた故に水がたまったりしたのだったら、膝だけをどうにかしようとしてもどうにもならないのである。

食べたいものは今まで通りで、体重を減らす気もないが、膝に水がたまっているのは膝のせいだから、膝を治してくれ、というのは余りにも身勝手ではないか(笑)



しかし、操体の面白いところは、先の「同時相関相補連動性」に従って、どれか一つの営みが良くなると自然に他も良くなってくる。良くなってくるとバランスがとれてきて、ボディの歪みが整ってくる。



つまり、最初は膝の不調の改善に来るのだが、ボディの歪みが改善され、それに伴って症状が改善してくると、他の「息食想」も変わってくるのである。