操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体とリハビリ。肩の痛みと操体

3月27日から「足趾の操法集中講座」が始まります。



小松広明君が「東京操体フォーラム実行委員ブログ」で足趾の操法集中講座を紹介してくれています。



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土日と、京都から小松君(東京操体フォーラム実行委員)がやってきた。「視診触診集中講座」のアシスタントのためである。

彼の結婚式に伊勢を訪れたのは昨年12月のことだ。





それから2月、彼はネパールに新婚旅行に行く予定だったのだが、何と新婚旅行に出発する前日に交通事故に遭った。幸い命に別状はなく、左下腿の骨にひびが入り、肋骨(左)を骨折した。京都に住んでいる彼のために東京操体フォーラム実行委員の佐伯氏と山本氏がかけつけ、操体を行ったのは以下のとおり。

http://d.hatena.ne.jp/tokyo_sotai/20100223

一体どんな様子でやってくるのかと思いきや、まったく普通に登場した。おそるべし操体リハビリ効果。勿論、第1分析でもリハビリには効果はあると思うが、第2分析、第3分析、第3分析以降の分析法による操体の効果は本当に違う。本人も『僕が楽か辛いかで楽な方に瞬間脱力、でやっていたらこんなに良くなってませんよ』と笑っていた。

視診触診講座は最終日だったが、小松君が『勉強にもってこいのフレッシュな歪み』を沢山持っており、圧痛硬結の宝庫だったので、受講生にとってはいい経験だったと思う。触診も「だいたい当たればいい」というのではなく、我々は「ぴたっと当てる」ことを要求される。更に当てると逃避反応がおこるわけだが、その逃避反応を見て、動診を瞬間的に選択しているのである。

視診触診ができないと『患者(クライアント)の言いなり』になってしまう。からだの訴えている場所と、患者の訴えている場所は往々にして違うので、患者の要求するところばかりを診ていても、根本的な解決にならないのだ。



小松君の左膝窩には、ぶどうで言えば巨峰の粒ほどのしこりがあった。こんなおおきなしこりでわかりやすいと思いきや、その芯になかなか当たらない。角度の読み方が足りないので、芯がつるりと逃げてしまう。この辺は場数を踏むのが必要だ。また、これは初心者に共通する事項なのだが、慣れないうちはどうしても早く触ろうとする。この辺がこなれてきて、まるでお茶の席でのふるまいのように運べればベストである(私もお茶席レベルの自信はない)。



途中、小松君をモデルに、第2分析と第3分析を交えて、私と辻君と森田さん(共にフォーラム実行委員)の三人で介助を与えた。はたからみていても分かるのだが、『ストレッチしてきもちいい』とか『伸びをしてきもちいい』というのとは全く次元が違う『快適感覚』を味わっている。大変質の高い快を味わっているのである。こういう場合は『きもちよさ』が周囲に伝染するので、私達にも快適感覚がビンビン伝わってくるのである。

一つ言えるのは、この時の小松君の動きは本人の意識は関与していない、からだが欲している動きなのである。この、からだの無意識の動きが「なおしをつけてくる」のであり、その際には深い快適感覚が伴う。

確かに『楽な方にうごかして瞬間急速脱力』では味わえない『快』のレベルなのである。



なお、第3分析を「からだが勝手に動いてくる」と認識しているケースもあるようだが、そうではない。からだに無意識の動きが起こることもあるということだ。その他にも皮膚がつけてくる現象は多種多様である。(快からのメッセージ 165〜167ページ参照)









小松君はその後夜、山本氏の個人レッスンの席で再度モデルをつとめた。私と辻君も同席したが、何が起こったのかはまだここでは書けない(爆)。が『動きの分析でこうなるわけですか????』という目からウロコ、口あんぐり(笑)の体験だった。

最新秘技?を見せて下さった師匠に感謝いたします。ありがとうございました。



ところで、

今勉強しているテキストはめちゃくちゃ重い。A4で約1600ページ(二冊分冊)ある。これを持ち歩いていたら、左の肩甲骨と左の肩甲骨と脊柱の間がおかしくなった。持ち歩くと痛みが起こり、持つのをやめると痛みが軽減する。また、動かして痛いのではなく、常に痛い。肩甲骨が痛み、首を右に捻転すると首にも肩甲骨にも痛みが走り、運動制限がある。自分でも一般未公開の操体秘技(笑)を試し、週末の講習はしのぐ。





さて、私達操体実践者がどこかおかしくした場合『操体やってるから、自分で治せるんでしょ』と言われることがあるが、『本人にしかわからない快適感覚をききわけ、味わう』と考えれば、何も自分で動いてみるばかりが操体ではない(例えば足趾の操法は自分ではできない)。この辺を結構勘違いしている方がいるが、なぜ、操体には操者(指導者、あるいは補助者)がいるのかということだ。快適感覚をききわけられないとか、からだの健康度を自分で戻せるレベルにいないとか、そういう方のために操体には操者(指導者)が存在する。例えば、下記3に相当するような(例えば動けないとか)方の場合、いきなり「自力自動」の操体をしろといっても無理である。まずは自力自動の操体ができるレベルまでの助けが必要なのである。



1.未病医学として(健康な人が病気にならないために)

2.予防医学(一度病気になったことがある人が二度と病気にならないために)

3.健康の度合いが低い人を、自力自動(一人で行う)のレベルにまで引き上げるために

4.パフォーマンス向上

5.リハビリテーションのために

6. まだまだあるけどその他



こういう時一番いいのは、最初に技量ある操体指導者にお願いし、からだにゆだね、治癒力を促すという手をとる。それで調子が6割とかそれ以上に戻ったら、自分でケアをすることだ。



というわけで、私の場合「困った時の師匠」である。勿論患者として予約を入れるのである。勿論自力自動で色々試すが、やはり最終手段というか『先生にお願いすれば大丈夫だ』という妙な安心感(笑)がある。



というわけで、治療をお願いした。

三浦先生と言えば、「渦状波」だが、「快からのメッセージ」「操体臨床の要妙」が出たのは10年前。10年前と同じ臨床はされていない。動きから皮膚へ。皮膚から動きへと、らせん階段を上るようにその内容は進化している。最近は「動き」に戻ってきたような気がする。

また、その進化のスピードはもの凄く速く、弟子の私も把握していない位なのである(笑)。小松君の臨床同様どんなことをやったのかはまだ書けないが、ほんの10分程度で私の左肩甲骨と左肩甲間部の痛みは消えた。翌朝起きたばかりの時は少しこわばりがあったが、今日は全く痛みなしである。勿論また無理して重い荷物を持てばぶり返すと思うが、それは自業自得というものだ。いずれにせよ、私の左肩甲骨は普通の状態に戻ったのである。

なお、先生は私のからだには触れたが、肩甲骨や肩甲間部そのものには一切触れていないし、私のからだには無意識の動きがおこったわけではない(起こる人もいるが私はあまり起こらないようだ)。しかし、流れるような感覚が快適感覚に変わり、それを味わっていたのは事実である。

わかっていはいるのだが、やっぱり驚く(笑)