私は浮世絵好きである。
太田記念美術館のパスポートも持っている。
というわけではないが、先年に大英博物館で、
大規模な春画展が開催された後の、日本での開催は
どうなるかという話に興味を持っていた。
今回、細川の殿のお陰で、永青文庫にて
日本初の大規模な春画展が始まった。
最近では、河鍋暁斎の展覧会でも、カーテンで仕切られた
一画で暁斎筆の春画が展示されるなど、ちょっとづつ
風向きが変わってきたようだ。
しかし、元々日本国内にあったものが
ペリー来航開国と共に扱いが代わり、
海外では高い評価を受けているのに、
日本国内では展示されないというのはやはり変である。
さて、東京操体フォーラム藝術部一行は、
夜の目黒区、椿山荘にほど近い永青文庫(江戸川橋
あるいは雑司ヶ谷からタクシーがお薦め)に降り立った。
展示はまず上の階から。
最初は肉筆画である。
肉筆画というのは当然だが、大量生産できない。
裕福な層が絵師に書かせたりした。
時代が遡るに従って、版画の技術が進み、
色数の少ない版画から、豪華な錦絵に変わる。
それに従って春画も豪華になっていくのである。
今回、丁度2日前に、田中優子先生のお話を
本楼(豪徳寺)で聞くことができた。
春画というのは、確かに男女が互いに目を合わせている。
目合い(まぐわい)というのもこの辺りから来ているようだが、
平安時代などは、姫様が殿方に
「顔を見られちゃったら同意したことになる」
だったそうなので、なるほど、とも思う。
また、BL系や百合系もあったり、
一人の旦那を六人くらいのオナゴが責めているのもあったり
バラエティに富んでいる。
そして、若い女子が多かったのは事実である。
今回私も思ったのだが、春画というのは
男性のファンタジーというか
幻想で作られたものではなく、
良くありがちな、
一方的に女性をおとしめたものではない。
みんなで「あはは、こんなことないない」とか
笑った(笑い絵とも言った)のである。
お姫様のヨメ入り道具だったとか、
つまり男女も身分も関係なく
「あんたも好きねぇ」
(カトちゃんの声で言ってみよう)
ということだったのだ。
我々は6名で鑑賞したが、
やはり複数で行って
「すごいなこりゃ」とか
「これ、絶体無理無理」とか言いながら
わらってたのしく観るのがお薦めである。
なお、豪華な図録は4000円であった。
前半と後半は展示替えがあるそうだ。