操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

ワクチン接種後の痛み(その後)

先日「ワクチン接種後の腕の痛み」について書きました。

これは、よく聞く「ワクチン接種後、動かさなくても腕が重くて痛い」というのとは少し異なり、

・接種数日後は腕が痛くて重かったが、それは1週間くらいで消失

(私もこの時は、高熱が出たのでカロナールを飲んでました)

・1週間後あたりから、左上肢に違和感を感じ、エプロンの後ろのボタンをかけられないことがわかった(腕が後ろに回らない)

・回すと痛い

 

という状況でした。

 

この時、どういうことをやったかというと、

・運動分析

・最大圧痛点へのアプローチ

 

です。操体実践者ならば「あ、なるほど」と思うでしょう。

 

この話を三浦寛先生(師匠)に伝えたところ

「そういうのは、原因が明確にわかるからな(原因がわかれば対処法はそれほどむずかしくない)」

とのことでした。

 

 

橋本敬三先生の本には「短時間でぱぱっと」という状況が書かれていることがありますが、それは「原因がわかっていたから」だと思われます。

このような症状疾患には、第一分析(橋本敬三先生時代の操体法)は、奏功します。

 

もちろん「原因を読む」(診断分析)のが大事で、「取り敢えず基本を3つやっとこう」とか「知ってる操法を全部やってみよう」では、プロとしての対処は無理でしょう。

 

ちなみに、プロは「操法」よりも「診断分析」を重点的に勉強します。私自身操体の勉強の99パーセントくらいは「診断分析」で、残りが「操法」かなと思っています。

なので「操体」を実際に臨床に活かすには「操法」だけ覚えてもダメです。

 

 

第一分析(橋本敬三先生時代の操体法)は、このように、原因がはっきりわかっているとか、最大圧痛点など(被験者本人が痛みを訴えているところとは異なる場合がある)が明確な場合、もっと言えば、動かしてぶっ壊したりしたものは、3分程度で処置できます。

 

これも三浦先生に聞いたことですが、橋本敬三先生は、リウマチの患者さんにはてこずっていたそうです。

 

リウマチはご存知のとおり、免疫疾患です。敬三先生の本に、膠原病(全身性エリテマトーデス)の患者さんの話が載っていますが、操体法での治療の他に、食事などにも気をつける必要がありますし、ストレスやからだの問題もあるでしょう一度や二度受けたからといって良くなるわけがありません。

原因が複雑だからでもあります。

さらに、免疫疾患系だと、動かすと痛いという場合もあります。

 

動かして治す、ということができないとどうなるか。

 

運動系とは横紋筋系運動器官のことで、骨格を主とする硬組織と、筋肉から皮膚までを含めた軟部組織とを総称する。(生体の歪みを正すP169)

これは、橋本敬三先生の著書をPDF化して、文字検索をかけられるようにして、どの本のどこに何が書いてあるかすぐ検索できるようにしてあるものです。

私はAdobe製品をかなり前から使っているので、20年位前からこれを使っています。

昨年ある場所で、この手法を「さも自分が発見した」ように自慢気に話している人を見ましたが、畠山は20年前からやっております(笑)。

 

というわけで、三浦先生は、橋本敬三先生は「皮膚」も運動系に含めているし、「皮膚」も、関節同様8方向に動く、と気づいたので、「皮膚」に注目したわけです。

 

その後、皮膚へのアプローチは、からだを動かせない場合にも良いことや、三浦先生の経験から、うつ病心身症などの改善にもよい結果がでることがわかりました。

 

三浦先生は、当時、精神科のドクターとご縁があり、うつ病の患者さんをかなり回されたそうです。

精神科のドクターは、基本的には、患者に触れません。

 

また、当時精神科のドクター自身が三浦先生の操体治療を受けていたということもあり、精神科のドクターご自身が、操体(皮膚へのアプローチ系)の効果を体感していたからでしょう。