操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

左腕の痛み(続編)

英国のエリザベス女王の訃報が届きました。

私が子供の頃から、イギリスの女王はエリザベス女王だったので、なんだか未だに信じられない感じです。様々な方がTwitterなどで弔意をあらわしていますが、先程改めてロンドン・オリンピックでボンドと共にヘリからパラシュートで降りてくる演出や、パディントンとお茶を愉しみ、パディントンが帽子の中から「緊急用ママレードサンド」を出すと、女王陛下もハンドバッグからママレードサンドを出すというのを見ました。

最後に、紅茶のカップを女王陛下が叩くのもいいですね。。

 


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橋本敬三先生も96歳で祖神の里に還られました。

 

昨日書いた記事です。

blog.teizan.com

その後、一名ならず数名の方から質問があったので、お答え致します。

 

「自分も左腕が痛いんだけど、どこを押したら治るか」というご質問です。

理由については、お一人は、ワクチン接種後、もう二人は不明、もう一人は、ここ数ヶ月(多分五十肩)とのことでした。

 

そして、最初にお断りしておきますが、私はドクターではないので
「ここを押したら治る」(治る、というのが問題です)とは言えません。

よく雑誌の特集などで「肩こりに効くツボ」とかありますが、「治る」はアウトで、「効く」はセーフ?みたいな。。。

例えば「疲れ目に効くツボ」というのは、疲れ目が多少緩和されるかな、くらいの感じです。

雑誌の特集などで「ここを押すと疲れ目が治る」と書いてはいけないんです。

 

というわけで、本題に戻りましょう。

 

もともと、操体には「症状疾患別」という考え方がありません。

どういうことかというと「○○に効く操法」というのは、ないのです。というのは、

「全身のバランスをととのえることによって(ボディの歪みを正す、あるいは軸の不正を正す)、二次的に、症状疾患を解消する」ものだから。

 

つまり、対症療法ではないのです。

 

対症療法を手技療法的に説明すると「この症状にはこの方法」的な考え方のことを言います。

 

まあ、殆どの方は「腰が痛かったらどうすればよいか」ということを考えますが、操体では「腰が痛い」のは「サイレン」であると考えます。

 

サイレンというのは、どこか火種が火元となり、火の手があがり、火災報知器に反応して、報知器が鳴っている状態です。

 

対症療法とは、このサイレンに放水しているのと同じなのです。

サイレンに水をかけても、火元と火種をどうにかしないと、問題は解決しません。

サイレンも水をかけ続ければ壊れて鳴らなくなりますが、火種火元は消えていません。

くすぶっていて、また燃えるかもしれません。

 

遠回りのようですが、火種・火元を色々な方向から(息食動想とか、環境とか軸とか、バランスとか)どうにかしよう、というのが、操体です。

 

 

また、経絡や経穴もあながち操体と別問題ではありませんが、本来経絡や経穴も、そこを押したり鍼を打てば治るのではなく、経絡や経穴治療を行うことによって、気の巡りをととのえ、その結果調子がよくなる、症状疾患が改善される、というしくみになっています。

 

反射点といって、からだのある部分に対応するところはありますが、そこを押せば治るというわけでもありません。

 

そして、人間のからだはそんなに単純ではないのと、同じ左腕の痛みでも、それが痛みとなって現れた原因や、起こってからの時間は人それぞれです。

 

原因と、発症からの時間が違えば、

 

Aさんにはこれが効いても、Bさんには効かない。

そのような「想定外」ばかりなのが、実際の臨床です。

 

実際に、学校などで「腰痛にはコレ」といって習ったものが、現場では全くダメということは、かなりあります。

臨床現場は想定外が多いのです。

 

治癒への道は、一人一人違います。


万人によいというものは、それだけ効果も薄いものなのです。

 

ちなみに、私自身は「押して治るところを教えて欲しい」という質問に、あらためて

操体の常識は世間の非常識なんだな」と思いました。

 

「それは私も教えて欲しいくらいです」と思ったりすると、橋本敬三先生から

 

「そんな、おうぢゃぐ、すんな!」と、スリッパとか飛んでくるかもしれません。