操体法大辞典

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「共感障害という謎」

昨日、横断歩道を渡ろうと思って信号待ちをしていた時、横断歩道の50メートル先くらいで、救急車がサイレンを鳴らしました。

 

このような場合、救急車を優先し、横断歩道を渡るのは少し待つ、というのがいわゆる常識ですよね。

 

しかし、一人の中年の女性が、信号が変わった瞬間、横断歩道を渡り始めました。

救急車は横断歩道を越えようとし、横断歩道を渡っている女性と、本当に接触しそうになり、それを目前で見ており、冷や汗をかきました。

 

このような場合「なんて非常識な人なんだ!救急車が来たら一旦待つのが常識だろう」と、怒ることもあるでしょう。

 

その人は、横断歩道の真ん中で、救急車を止めて、悠々と歩みをすすめ、横断歩道を渡って行きました。

 

救急車を運転していた人も、かなり焦ったのではないかと思いますし、私以外で横断歩道の前で、この状況に居合わせた人達もかなり焦った(救急車と接触しそうだったので)でしょう。

 

そこで、私は少し考えました。

あの、横断歩道を渡って行った女性、一体どんな状況だったのだろう。

 

・なにかしらの障がいを持っていて、サイレンを鳴らした救急車がやってきたら、横断歩道の信号が青であっても、救急車に道をゆずる、ということを知らない

・横断歩道を渡る、ということにものすごく集中していて、救急車に気がつかなかった

 

これは答えが出せないんですが、その女性は悪気があって救急車の前に立ちはだかったのではないし、自然に自分の歩を自分のペースで進めただけなのです。多分。

 

この話とは関係ないのですが、思い出したのは、丁度読んでいたこの本。 

 

自分が感じている世界を、他者も同じに感じているわけではない、ということがよくわかります。

自閉症に対するアメリカの早期教育も興味深いし、自閉症は愛情を与えてあげれば治る、という誤った認識に関することも。

我々は、かなりみんな個性的なのです。