操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体法のセルフケアの心構え(1)

少し前、操体のセルフケアの個人レッスンの時、受講生の方が、ある動診操法をためしてみて

 

「ちょっとしかきもちよくない」と言いました。

 

なるほど。

 

ちょっとしかきもちよくないのは、よくないことなのでしょうか。

ちょっとしかきもちよくない→損得で考えたら、損

すごくきもちいい→損特で考えたら、得

 

なのかも?

 

操体法を勉強している人ならば、一度は「がんばるな、よくばるな、しばるな」という

「バルの戒め」という言葉を聞いたことがあるかもしれません(いや、操体勉強してたら、これを知らないでは済まされません)。

 

この中の「よくばるな」は、いわば「感覚の分析を損得勘定でやるな」ということだと思います。

 

そして、何故「ちょっとしかきもちよくない」のでしょう。

それは、バランスがとれているからかもしれないし、今のアナタには必要のないことだからかもしれないのです。

 

あとは、損得勘定でみると「(わたしが)ちょっとしか気持ちよくない」のですが、損得勘定抜きで「ちょっときもちよさがききわけられる」と言い方を変えてみるのです。

しつこいですが、主役は「からだ」です。

 

「あ!ちょっとだけど(からだに)ききわけられた!」って言うと、何だかからだがかわいく思えてきませんか?

 

やった~、からだ、すごいね!みたいな。

 

この「やった~!からだ、すごいね」、という感じが掴めれば、操体法のキモを理解したも同然です。

 

操体は常に「からだ」が主役だということです。

「ちょっとしかきもちよくない」のは、誰でしょう。

それは「わたし」です。

 

「わたし」はアタマが働くので「損か得か」とか「正しいか正しくないか」と、考えるのが大好きです。

 

なので「ちょっとしかきもちよくないんだったら、損だな」とか、「左右両方均等にやるのが正しい」と、考えます。

 

しかし「からだ」は「原始感覚」、つまり「快か不快か」(好きかきらいか)で選択します。

 

他の時はいいので、操体のセルフケアをやっているときだけは「損か得か」「正しいか、間違っているか」ではなく「それは、からだにとって快か不快か」で、ためしてみるのです。

「からだ」が主役なので、ゆっくり動きを表現しながら(動く、と言わずに表現する、と言うと、ゆっくり表現できます)、よ~く感覚をききわけてみます。

 

1.きもちよさがききわけられる場合

そこで「あ、これってきもちいい」と感覚できたら、「からだに」「これ、味わってみたい要求ってある?」と問いかけてみます。

そこで「うん、味わってみたい」と、からだが返事すれば、そのまま快を味わっていればいいのです。

 

2.よくわからない場合

そして「う~ん、わかんない」となっても大丈夫。ここがポイントです。

痛いとか不快であるとか、イヤだ!という感じがなければ「このまま続けてもいい?」と、からだに問いかけてみます。

「いいよ」という答えが返って来たら、すこし試してみて、抜きたくなったら脱力すればいいだけの話です。

 

3.イタきもちいい場合

これも、からだにききわけて、「続けてもいいよ」という答えが返ってくれば。続けてみて、抜きたくなった脱力すればいいのです

 

つまり、どのような場合でも「からだ」に問いかけるのです。

 

操体では「からだ」が主役です。

「からだの声を聞く」という話はよく聞きますが、ここまで徹底して「からだにききわける」のは、操体法だけではないかと思います。

 

主語が「からだ」@操体

「からだにききわける」ということで「からだ」

 

主語が「わたし」「アタマ」@操体以外

「(私が)きもちよさを探す」「(私が)きもちよさを探して色々動いてみる」

 

なのです。

 

例えばあなたが「自分でセルフケアできたら得(医療費とか)じゃん!」と思って操体を勉強してもいいのです。

その時は損特でもいいんです。主役は「私」だから。

 

しかし、実際に動診操法を行う時は「からだ」を主役にすることです。

 

いいですか、

 

他の時(仕事とか日常生活とか)では、損特正しい正しくないでもいいんです。「私」が主役なんですから。

(快不快の話をすると、仕事や日常でも主役はからだで、損特とか正しいとか正しくないで動いてはいけないんですか、と言う人がいたりしますが、それは違います)

 

大昔、全国操体バランス運動研究会で「私は赤信号でも渡りたかったら渡る」言った人がいました。

これは、あきらかに「主役」は「自分」です。

車にひかれても仕方ないのです。赤信号の時は渡らない、というのは、社会的なルールですから。

 

しか~し、操体のセルフケアをやる時だけは「主役は、からだ」なのです

 

 

f:id:lovecats:20201217130956j:plain