ベーシック講習ではどんな操体をやるのですか?
という質問を受けるのでお答えしたいと思います。
操体の基本理念(息食動想+環境とか)は別として、セルフケアのために実際どのような操体を覚えられるのか?ということですね。
基本的に『身体運動の法則』つまり
・重心安定の法則(からだの使い方)
・重心移動の法則(からだの動かし方)
に沿って、最新ヴァージョンをご紹介しています。この使い方、動かし方を『般若身経』と言っていますが、般若身経にしても
健康体操やエクササイズとして捉えている場合と、からだの使い方のお経のようなものつまり運動やエクササイズの「もと」として捉えている場合があります。
当方では後者、からだの使い方のお経のようなものとして見ています。
現在発売されている橋本敬三先生の著書に載っているものを見ると
・誰にもわかる操体法の医学
・万病を治せる妙療法
・からだの設計にミスはない
・生体の歪みを正す
に掲載されているものは、微妙に違います。
特に、自然体立位で『膝のちからをほっと緩める』という記載は『からだの設計にミスはない』にしか載っていません。
般若身経は橋本先生の時代にも少しづつ改訂改善が加えられてきたのです。
私も最初に『般若身経』を知ったときは「なんだ、単なる体操じゃん。これよりも操法を早く覚えたい」な〜んて不埒な事を考えていたわけですが(笑)、勉強していくうちに「これはものすご〜く大切なことだ」と気がつきました。そして、操体実践者としてこれは絶対に理解しておかねばと思うに至りました。
般若身経は「スタンダード」であり「診断法」であり、「治療法」なのです。
★というわけで、般若身経のうち、前後屈、左右捻転、左右側屈をみっちり。いいですか(笑)これは「スタンダード」であり「診断法」であり、「治療法」なのです。単純な体操じゃないのです。
体操的にやるのだったら、両手を挙げてバサッと落とすとか、足踏みもやっていいですが、これは何も私が教えなくてもできるハズです。だって、両手を挙げてバサッと、その場足踏みですから。
★それから個人個人に合わせたプログラムを組んでいきます。
よくあるような
・仰向けに寝て膝を曲げてつま先をあげてパタンと落とす
・仰向けに寝て膝を曲げて、膝を左右に倒して楽な方に倒す
・うつ伏せに寝て膝を脇のほうに引き上げて脱力
というのはやりません(笑)
何故なら上記の3つでは介助がないと特に快適感覚が聞き分けられないからです。多くの方は大抵本を読んで上記3つを試します。
しかし、つま先をあげてパタンと落としてきもちよさがききわけられるのでしょうか?
膝を左右にぱたぱた倒してドスンと脱力して「どちらがきもちいい」かききわけられるのでしょうか?(どちらに倒しやすいかは分かると思いますが)
うつ伏せに寝て膝を脇のほうに引き寄せてきもちよさがききわけられるのでしょうか?(挙げやすいか挙げにくいかはわかるかもしれませんが、きもちよさはどうだか分かりません)
これらはコツがないと息を止めて体を硬直させて、一気に全身の力を抜いた時の『脱力後の爽快感』で我慢するかそれともそれが操体の快適感覚だと勘違いするかです。(力をたわめて、一気に抜いた後の爽快感が操体の快適感覚ではありません。ある動きを試してみて快適感覚がききわけられるか、ききわけられたらそれを十分に味わうのが手順です)
力を入れてからだを硬直させ、一気に力を抜くのは、操体法の源流、正体術の時代にはありました。
また、ヨガのリラックス法にもあります。
1.動診(目的ある動きを、ゆっくり行う。からだによく感覚をききわけながら、ゆっくりと。
この場合、『目的ある動き』とは、自由にきもちよさを探して動くのではなく、例えば足関節を背屈させるとか、
肘を床に押し込むなどのように、目的がある動きを指します)きもちのよさがあるのか、ないのか、ききわけられるのか
そうでないのか、それが診断(分析)です。
2.きもちのよさがききわけられたら、診断から治療にうつります。そのきもちの良さを十分に味わうのが
操法すなわち治療です。
3.十分にきもちのよさを味わって、からだが納得したらからだの要求に委ねます。きもちよさが消えてくると
からだはゆるやかな脱力をつけてきます。
4.脱力後の爽快感があったらそれも十分味わいます
5.回数の要求をからだにききわけます
★この手順で覚えていただくと、動診の数は少なくとも『あ、これがきもちよさをききわけ、味わうってことですね』
と納得していただけます。
というわけで、5月の土曜は施術+ベーシック、あるいは第三日曜午前中ベーシック講習を開講します。