9月23日、行徳ゴールドジム アスレチックセンターにて東京操体フォーラム主催の「臨床家による操体セミナー」が開催された。
090923ゴールドジム 操体法セミナー |
最初の20分、畠山(私)によるイントロダクション。
これはいつもやるのだが、前屈実技。会場からからだの硬い人を何名か選んで、「からだの柔軟度を増す」というのをやる。操体的に指導すれば、辛いこと、痛いことをせずともからだの柔軟度をコントロールできるのだ。
★操体を単に「柔軟性を増す」というツールとしてのみ使うのは勿体ない。操体という哲学をとおして、「柔軟度を増す」ということが自分にとってどのような意義があるのか?それによって意識に変革を起こしていただくのも効用の一つである。
操体は『自力自療』と言われる。自力自療とは「ひとりでできる」というわけではないという事を伝えたかった。例えば、操体って一人でできるのに何故先生(操者)がいるの?操者はいらないんじゃない?一人で、自分でできるのが操体でしょ?
という話をたまに聞く。
操体には大きくわけて3つの場がある。
1.我々のように臨床でクライアント、あるいは患者様を診る場合(橋本敬三医師の姿。本来はこれが操体の姿である)
2.カルチャー、あるいはフィットネスクラブ、ジムなどで、インストラクターが複数のメンバーに指導する場合(昨日のゴールドジムでのセミナーなど)
3.自宅や職場でからだの手入れとして行う場合
人の健康度合いもそれぞれ違う。例えば健康の度合いを100を基準として80や90の場合だったら、3のように自宅や会社でセルフケアができる。セルフケアには専門家による指導も必要だが、「健康な人がからだを壊さないために手入れをする、健康の基礎を築くため」に行う。これが『未病医学』としての操体である。
カルチャー、フィットネスの場合、ある程度動けるし、身体能力を高めようという意志がある方々が集まるので、ある程度の運動はできる方々が来られる。しかし、健康の度合いが20とか40など、間に合っていない、自力自動が叶わないような状態にある方に対しては我々のようなプロが必要だ。
例えば指先を切った程度なら病院に行かずとも、消毒して絆創膏を貼っておけば治る。しかし指を折ったとか切断した場合は大抵は医者にかかるだろう。
それと同じである。
自力自療というのは、本人にしかわからない感覚をききわけ(分析、診断)、味わう(操法、治療)ることによって、ボディの歪みを正し治癒能力(治る力、治せるちから)を高めることを言う。それを自力自療と言うのだから、操者がいようが、一人でやろうが、百人でやろうが「自力自療」には変わりないのである。また「操体は自分で動くこと」という説明も説明不足であり、自分で動くのが操体だったら何でも操体になってしまう。操体とは常に『感覚のききわけ』本人にしか分からない感覚のききわけが伴う。感覚を伴わないものは操体ではない。
操体というと「きもちよく動く」というイメージがあると思うが、「きもちよさを探して色々動く」のではなく、「ある動きを試して快適感覚をききわけ(診断、分析)味わう(操法)」のである。つまり「診断(分析)」が存在する。いきなり「きもちよさを探して動く」のではお門違いである。
そして、『快適感覚』の前に考えていただきたいのが本日ご紹介する『身体運動の法則』である。
重心安定の法則
重心移動の法則
連動の法則
呼吸との相関性
目線との相関性
(3法則と2相関性)
ボディの歪みと快適感覚はどのような関係があるのだろう?ボディのバランスがとれていると「楽でなんともない」「スムースで楽」となる。しかし、ボディに歪みがある場合、動かしてみると快か不快を感じる。ボディに歪みがある場合、動かしてみて(動診)きもちのよさがききわけられ、それを味わう(操法)ことによって、快適感覚でボディの歪みが正される。それに伴い、二次的な結果として様々な愁訴が解消されるのである。
「きもちよく動く」のは「きもちよさがききわけられてから」である。きもちよさをききわける前に「きもちよく動いて」というのは非常に不親切な指導であり、操体的ではない。操体以外だったら言葉のあやなどで許される場合もあるだろうが、操体ではそういうことはない。「きもちよく動いて」という指示の前には必ず「動診」(動いてみて、感覚をききわける)という過程が存在するのだ。
みたいなことを話して、マイクを平直行相談役に渡す。
平さんは「操体自慢しようっと」と打合せ時に話していたが、操体は勿論凄いのだが、彼が話すと本当に素敵な話になる。また、格闘技の世界から武術にスムースにシフトできたのも、何故か引退してからのほうが強い(笑)という事実も操体とのご縁からである。最後に岡村実行委員長による実技(モデルは平相談役)。
その後は今回セミナーデビューの辻実行委員と中谷、西田実行委員、博多からこの日のために駆けつけた秋穂理事による『般若身経』をたっぷり1時間やった。参加者の間に実行委員が入り、細かい指導を行った。気がついたのは、骨盤が後弯曲(つまり、骨盤が前傾し、腰椎のカーブが強い、でっ尻状態)している参加者が多い事だった。ジムでウエイトトレーニングをしているとか色々あるのだろう。後弯曲しているのが悪いとは言わないし、特定のスポーツにおいてはそれが要求されるケースもあるが、どうせだったら前弯曲、後弯曲を使い分けられることが一番望ましい。その方がいかなるパフォーマンスも向上が望めるのではないだろうか?
その後、休憩をとって師匠、三浦寛先生にマイクを渡し、質疑応答コーナーとなった。
・操体とカイロプラクティックの違いとは? → 操体には「感覚のききわけ」がある
・実行委員は目をつぶって動いていたが、そのほうがきもちいいのか?
→ 目線で、というのは目を開けておらずとも、目を閉じて意識を通すことである。目をつぶっていたほうがきもちいいのではなく、目を閉じていたほうが
感覚をききわけやすい。
などの質疑応答が行われた。また、丹田を養う秘法?が公開された。あ、女性の場合呼吸をとおすのは恥骨でいいと思います。
その後、三浦理事長の指示により、会場内からモデルを選んで岡村実行委員による実技(膝の左右傾倒、膝の伸展、肩甲骨の押し込み)を行う。被験者は左の膝窩、右肩甲骨に圧痛硬結がみられたが、操法後どちらも解消した。時間にして10分。この実技を披露してよかったと思っている。披露したにせよ、ほんの一部分というかさわりなのだが、参加者の目が釘付けになっていたのがわかった。
以上ざっとレポートを書いてみたが、またやろうと思っているのでよろしくお願い致します。