呪われし者の女王

クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア 特別版 [DVD]

呪われし者の女王〈上〉―ヴァンパイア・クロニクルズ (扶桑社ミステリー)

呪われし者の女王〈下〉―ヴァンパイア・クロニクルズ (扶桑社ミステリー)

Queen of The Dammed（呪われし者の女王）
何だかいつもと文体が変わってきましたが。。

これは私がヴァンパイア・クロニクルズで一番好きな作品かも。また、ライス女史の原書を最初に読破したのがこの本でもあります。読み終わった時の感動ったらありませんでした。ここからライス女史の本はまず原書で読んでから（そんなに難しくありません）、柿沼さんの翻訳で楽しむという一作で二度美味しいというパターンにはまりました。
これは映画化もされてます。邦題が「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」。レスタト様役はトムクルではなく、スチュアート・タウンゼント。前作のトムクルとは違って脱ぎが多いのが特長♪美しいです。アカシャ役を歌手のアリーヤ（この撮影の後、飛行機事故で急逝。合掌）が長い爪サック（というのか？）をつけて、半裸でくねくね美しいです。私のアカシャのイメージとは違ったけど。またＤＶＤを見ていて『マリウスが茶色のショートヘアだっ！』と叫んでしまいました。だってマリウスってブロンドのセンターパートのロン毛なんだもん。評判はあまり良くなかったようです。普通の映画として見るんだったら結構面白いと思うのだが。ライス女史ファンと、第1作の完成度の高さで比較しちゃあね。

さておき、ノベルのほうを。前作「ヴァンパイア・レスタト」で、レスタト様の声で起きちゃった女王アカシャ。アカシャは王（エンキル）を破壊して、神殿守をしていたマリウスを襲ってのして暴れ出すわけです。レスタト様はアカシャにさらわれて『私の王子』と呼ばれ愛でられるのでした。めでたしめでたし、じゃなくて、アカシャはこの世が戦乱や貧困、強姦などが起こるのは男に原因がある、と考え、世の中の殺して十分の一にし、女性が統治する平和な世界を作ろうと考えます（平和的じゃないよね）。レスタト様をお供にヒマラヤで古くからいるヴァンパイアを殺したり、タヒチで殺戮したり。レスタト様も止めるんだけどアカシャは止まらないのだった。。。
サブストーリーで登場するのが、超常現象研究集団「タラマスカ」。確かタラマスカは前作に初登場したと思います。タラマスカというのは、アムステルダム、ロンドンなどに支店（？）があり、「常に見守る者」として、ヴァンパイアをはじめ、魔女、心霊現象などを研究している組織で、起原は古くて確か十字軍とかその頃から続くらしいんですが、案の定目立つレスタト様は目をつけれらてます。タラマスカの倉庫（？）には、レスタト様にまつわるものも保管されていて、クラウディアの肖像などもあったりするのだ。目をつけているのが、現タラマスカの長、ロンドンに住むディヴィッド・タルボット。彼はずっとレスタト様を追っかけているのです。そのタラマスカのアメリカ支局（？）のエージェント、ジェシー（イメージとしてはジュリア・ロバーツか。ジェシーは赤毛という設定です）。心霊的特殊能力を持つ彼女が頻繁に見るのが、赤毛の双子の夢。これも重要なキーワードになります。
このタラマスカというのは、ヴァンパイア・クロニクルのみならずライス女史のもう一つの『メイフェア・クロニクルズ』（『魔女の刻』シリーズ）にも登場するのですが、まるで松本零士描くところの『銀河鉄道999』にいきなりキャプテン・ハーロックが出てきたり、ハーロックの親友、トチローとの関係は世界大戦時のドイツの貴族（ハーロックのご先祖）とトチローのご先祖からのご縁だとか、トチローのカミさんはクイーン・エメラルダスだったとかそれに通づる面白さ（なのだろうか）です。
ところで、この作品には小さなエピソードがいくつか含まれているのだけど、印象深いのが、ティーン・エイジャーのヴァンパイア、ベイビー・ジェンクス。短いストーリーですが、彼女、あっけなく殺されちゃうんです。ちょっともの悲しい話です。何だか救われないというかなんつ〜か。

さて、世界中にはヴァンパイアが沢山いるわけですが、皆ヴァンパイアの起原というものを知らないのです。ヴァンパイアの起原を明らかにするというのがこのストーリーのテーマでもあります。ヴァンパイアの女王、それがアカシャなのです。その昔何千年も昔、多分エジプトとかアフリカとかに住んでいたある一族。女系家族で家長は代々強力な力を持った魔女でした（Powerful　witch）。その女家長に双子がいました。そうです。ジェシーの夢に出てくる赤毛の女の双子です。その一族には死者を食べて弔うという習慣がありました、それは決して野蛮なものではなく、死者に敬意を表してその才能を受け継ぐべく食べるというもの。この赤毛の双子はマハレとメカレと言ってやはり強力な力を持った魔女である母が亡くなったとき、その才能と叡智を受け継ぐべく、その脳と眼球を食べたのでした。
丁度、その頃その国の若き王エンキルのところにヨメに来たのが美貌の王女アカシャ。その後、王は遠征してマハレとメカレの村を破壊して、双子の魔女達の持つ知識を欲しいとその宮廷に捕らえて幽閉されるのでした。ところが魔女達はエンキルとアカシャの望みを断ります。（アカシャは、死者の肉を喰らうことは野蛮だとして、禁止したのです。死者は布でぐるぐる巻きにしておいたのだ。そう、ミイラの始まり？？）その望みというのが、血を吸う精霊を魔女達に呼び出して欲しいという願いだったのですが、それを断ったため、罰として王と女王は二人の魔女が捕らわれている間親切に二人の世話をしていたケイマンに二人をレイプさせます。その後妊娠したマハレは破壊された故郷の村に戻るのですが、メカレは血が好きな邪悪な精霊、アメルを呼び出し、王と女王に呪いをかけるのでした。その後マハレには子供が生まれます。アメルはエンキルとアカシャを傷つけ、いたずらをしたので赤毛の双子を宮廷に呼び戻しますが、精霊達は（増えちゃったんです）この若いロイヤル・カップルをその精霊がとりついた館で殺しにかかります。精霊に殺されかけたアカシャが死ぬとき、精霊は彼女の血を飲む代わりに、彼女の魂と一緒になったのです。こうしてアカシャは最初のヴァンパイアになったのでした。
へー。ヴァンパイアってこうして生まれたんだ。その後すぐにアカシャはエンキルをヴァンパイアにして、忠実なる僕、ケイマン（マハレの子供の父親ですな）もヴァンパイアにしてしまいます。そして双子の魔女を傷つけるよう命じマハレは両の眼球を、メカレは舌を切られてしまいます。その後ケイマンによって双子の魔女もヴァンパイアにされるのでした。その後３人は逃げるのですが、ケイマンは逃走に成功したのですが、双子の魔女は王の戦士達につかまり、棺桶に別々に入れられて海に流されちゃったんです。
メカレは何世紀もの間地面の底に埋まっていました。マハレは自分の故郷に帰り、子孫達に対して「一族の一番長である女性は代々マハレと名乗る」というシステム（というかマハレなんだけど）を考え、数千年の間自分とケイマンの子孫の巨大な家系図をつくり、ずっと守り続けてきたのでした。こりゃ膨大な数ですよ。なので、地球上のあらゆる場所、あらゆる民族、あらゆる人種に彼女の子孫がいるわけです。そして、そうです。赤毛のジェシーはマハレの末裔なんです。感動です。そしてマハレはアカシャの「男を殺して十分の一の数にして、女が主体の新しい世界をつくる」という計画を砕くべく、仲間のヴァンパイア達（その中でもパワフルな力を持った者達）に召集をかけます。（その前にジェシーはマカレによってヴァンパイアになるのでした）なので、全てのヴァンパイアは彼女の子孫なわけです。そして何千年か年を経たアカシャとエンキルは太陽の光を浴びるという実験をするんですが、二人は強いのでちょっと日焼けした位で済んだのです。そのため他の弱いヴァンパイアはご存じの通り日光に当たると死んでしまうという運命になったわけです。そうそう。元祖であるアカシャが死んでしまうと、その子孫である他のヴァンパイアも死んでしまうらしい（そうなのか・・）。

集まったヴァンパイア達はと言えば、オールスターです（記憶が間違っていたらすいません）。マハレ、ケイマン、マリウス、アルマン、ガブリエル、ルイ、ジェシー・・（他に誰かいたっけか？あ。年長順にならべてみました）。この時ダニエル君（インタビュアー）がいたかどうか今はちょっと分かりません。手元に本がないもんで・・すいません。そこで待っているとアカシャと、レスタト様が登場。ついにアカシャとマハレの対決か？と思いきや、地の果てから足音が・・・。そこにあらわれたのは赤毛の双子の片割れ、メカレでした！メカレは地面に潜っていたのですんごい格好だったらしいけど（舌を切られているので喋れない）、唸り声を上げながらアカシャに襲いかかって頭蓋骨を砕いて死に至らしめます。ここで、レスタト様始めヴァンパイア一同は「ぼ〜っ」と見てるだけ。そこでメカレがアカシャの脳を食べ（すると喋れるようになるのだ！）「見よ、呪われし者の女王の誕生を」（Queen of the dammed)と、宣言して終わるのでした。
見所は最後の「オールスター大集合」のところでしょうか。アカシャはともかく、レスタト様、ルイ、マリウス、アルマン、ガブリエル、ケイマン、ジェシー、あ、忘れてました。パンドラもいましたっけ。すいませ〜ん。これはまるでウルトラ７兄弟勢揃いとか、キャプテンハーロックとクイーンエメラルダスとトチローと星野鉄郎と古代進とデスラー総統が一緒に登場するのと、または遠山の金さんと紫頭巾とねずみ小僧と一心太助と銭形平次と梅安先生が一緒に登場する位そそられます（趣味的な表現ですいません・・）。

パンドラ、真紅の夢 (扶桑社ミステリー)

これも後々紹介しますが、パンドラが主人公の「ヴァンパイア・クロニクルズ」外伝。