操体法大辞典

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赤めだか

赤めだか

赤めだか

最近、東京操体フォーラムのメンバーに勧めたところ、ちょっとブレイクしているのがこの本。立川談志師匠の弟子、談春師匠のエッセイである。
そういえば、最近(たまにしか見ない)テレビを見ていても、『師弟関係』というのが目につく。ちょっと前は家具職人、庭師、もっと最近は角界の師弟関係。私も師匠を持つ身として色々考える。
そういえば『守・破・離』を教えてもらったのは、ISIS編集学校だった。私はここで出来の悪い師範代をやったが(出来が悪かったので、師範代紹介、の欄でも名前が小さい)、『守』『破』『離』という、学びのシステムに関してはよく考えた。ここでは、校長に松岡正剛氏(最近生で拝んでません・・)、その下に師範、師範代がおり、編集稽古をweb上でするというもの。
興味があったら是非どうぞ。
それはさておき、この本を紹介して下さったのは、「編集学校」にて、第一期師範代(OSAKAN教室)の荒木基次氏。私が『大阪の兄ぃ』と、お世話になっている方である。兄さんが書評なり読後感を書いているものを結構参考にするのだが、この本も当たりだった。

何故『赤めだか』なのか。
師匠を持つ者にとって、師匠に『アイツは赤めだかだなぁ』とは言われたくない。

途中で出て来る、談志(イエモト)、談春(オレ)に『嫉妬とは』と、話す下りは圧倒された。『嫉妬』という言葉をこれだけ明確に書いてあるのだが。

プロはすごい。身震いするほど。

立川流というのは、落語共同体を飛び出した談志が独自の歩みをはじめたが、弟子の育成に関しては結構難しいところがあった。通常のように前座は寄席に、というわけではないため、前座でありながら自由時間が多い。そこで自分のために、どう時間を使うか、明確な目標と強い意志をどうやって持つか。持てたところで己を鍛えるためのプログラムを自分で作らなければならない。
弟子になったばかりの若者が、時間割を決め、資料を集め、ひとつひとつ自分で考え、覚え、それを談志(イエモト)の前で発表する。発表した者に限って談志(イエモト)は次の課題を見つけるヒントだけ与える。立川流は一家ではなく研究所である。研究所であるから、飛びきり強い生命体も生まれるが、その陰で驚くほどの犠牲も出る。実力、能力を優先した本当の意味での平等と自由はあるが、残酷なまでの結果も必ず出る。それが談志(イエモト)の選んだ教育方法である。