今私がメインで持っているのは『足趾の操法集中講座』である。現在この講座には年の頃20代後半から30代はじめの若男子が参加している。私のほうが少しばかり人生経験が長いので、たまに参考になる話をするが、『本を読みなさい』というアドバイスは
必ずしている。また、私のブログを読んで『あ、あの本すぐ読みました』という若い衆はやはりめんこい(笑)。
たまに勧めても『でも』とか『時間がない』とか『本が苦手』とか、連続モノだったら『完結しないと読みたくない』とか『難しい』とか、そういう答えが返ってくると『読まんでもよろし!』と思ったりする(笑)
さて、若い衆はあまり本を読まないようである。また、話を聞くと、『本の中味を全部理解しようとして読む』あるいは
『全部覚えようとして読む』から疲れるらしい。
『本はね、その数行くらいが頭に残ればいいんだよ』
『読んで全部覚えておこう、なんていうケチくさい読み方はしないほうがいいよ』などと、話をする。
受講生の中の一人(仮にA君としよう)曰く
『最近、人生がぱ〜っと開けるような、そんな本を探してるんですが。例えば"心が明るくなる本”みたいな』
『何か読んでみた?』
『それが今ひとつで』
そこで先日八重洲ブックセンターで買った
毒舌 身の上相談 (集英社文庫) を彼に紹介しようと思って、バッグから本を出した。これは、週刊プレイボーイに「極道辻説法」として連載されていたものである。
ちなみに、橋本敬三先生は1896年生まれ、今東光氏は1898年生まれである。私は宇野千代女史を尊敬しているのだが、今東光氏については、宇野さんの著書の中に出てくる。まだ初々しい今東光氏しか知らなかった。が、「乗り移り人生相談」を読んだのと、橋本敬三先生と同年代だということで俄然興味が湧いたのである。私は持っていたいMacBookをネットに繋ぎ、「乗り移り人生相談」のページを出した。再度掲載するが、こんな内容である(これは、今東光氏と親しかったシマジ氏が乗り移られて書いたという設定)。
【1】開高健、柴田錬三郎、今東光 三人の文豪からもらった人生の栄養
【2】人間関係を築くうえで一番いけないのは遠慮だ
【3】窓を開けよ、世界は広いぞ! 女はいくらでもいるのだ
【4】人生は冥土までの暇つぶし、だからこそ極上の暇つぶしが必要なんだ
【5】男は必ず浮気をする。それを隠し通すのが優しさだ
【6】経験や知識は人生に「知る悲しみ」をもたらす
【7】女にモテたいなら「女の匂い」を身につけよ
【8】ゴルフで合コンなんて先人たちに顔向けができない
【9】食べ物の好みが合う男女は、カラダの相性もいい
【10】運を良くしたいなら、先祖の墓にお参りしなさい
【11】女はつき合っている男を「一人前」に育てなければいけない
【12】一人の時間を持て余す者は、二人の時間も持て余す
【13】ナル系上司に10万円のワインを奢らせなさい
【14】精神的包茎を直して権力者を大いに利用しなさい
この目次を見せたところ、若い衆は『おおおおお』と声を上げた。
『オレ、こっちのほうがよっぽどためになる気がしますよ〜』
そうだろう。今の君だったら恐らくこっちのほうがインパクト大だ。ひとしきり「乗り移り」の説明をした後、『毒舌 身の上相談』を開いて彼らに見せた。彼らが再び『おおおおおおお』と声を上げたのは言うまでもない。
今から30年近く前の人生相談(1977年以前)なので、おそらく今50歳〜60歳位の方々が当時悩みを寄せていたわけだが、結構面白い。特に『恋愛とセックスの悩み』などは非常にバラエティに富んでおり、『好きな少女にいたずら電話』のように可愛げのあるものから、『台湾の娼婦に狂い続け』とか『義理の弟とホモ関係』など、ディープなものまで満載である。今和尚は勿論これに
毒舌暴言で回答しているのだが、何だか「すこ〜ん」とした気持ちよさなのである。
橋本敬三先生が「放言」なら、今和尚は「暴言」なのだろう。
あ、あと、これらの若い衆に『開高健、柴田錬三郎、今東光』を知ってるか?と聞いたら知らぬとのことだった。勿体ない。昭和には格好いい男がたくさんいたのだ。
今度、うちのお師匠にも『乗り移り人生相談』をお願いしたいところである。勿論乗り移りは橋本敬三先生に決まっているじゃないですか(笑)