膝のトラブルに悩む人は多い。「操体で膝の痛みは治りますか」という質問をよく受ける。
ちょっと膝について何回かに分けて書いてみたい。
膝のトラブルというのは、一筋縄ではいかない。それは臨床家ならよく分かっているはずだ。
膝の周囲は非常に細かいパーツで成り立っており、構造(ツクリ)が複雑なのである。
私自身、半月板が半月型ではなく、どちらかと言えば木の葉型?なので、子供の頃は
よく膝ががくっとなって転んだものだった。また子供が転んで擦りむくのは膝小僧が多いし、
私も転んでこさえた擦り傷の跡が膝に残っているが、結構怪我しやすいところでもある。
これは医道の日本社から出ている『疾患別治療大百科』シリーズの2巻で、膝のトラブルに
ついて、様々な手技療法の第一人者の先生方がそのアプローチ法を書いておられる。
操体には本来『膝の痛みに効く操体』というものはないのだが、お呼びがかかっているので
師匠、三浦寛先生の原稿が掲載されている。
『症状疾患にとらわれない』という操体的な見方(診方)が、他の手技療法の中にあっても
異色を放つものであることがわかると思う。
膝の痛みを取る操法なんてものはない、ボディのバランスを整え、息・食・動・想(呼吸、
飲食、身体運動、精神活動)のバランスを整えれば自ずから良くなる。それが操体なのだ。
勿論急を要するものなどは別なのだが、オーバーウエイトで膝に負荷がかかっている場合、
生活を改めないで膝の痛みだけどうにかしてくれというのは妙な話である。
今思ったのだが、生活を改めずに痛みだけどうにかする方法と言えば、強い薬であるとか、
外科的に切ることだ。しかし生活を改めなければ、薬の効果は切れるし、体重がそのまま
だったらまた戻るに違いない(と、エラソウに言ってみる)。
膝というのはその裏側に『ひかがみ』という、操体での触診の最大ポイントを抱えているが、
ひかがみ(膝窩)というのは、ボディの歪みが必ず反映される場所である。からだの歪みを
映す鏡のようなもの(ひざかがみ→ひかがみ、という節もウソかホントか知らないがある
らしい)とも言われている。
また、症状疾患を抱えているクライアントはここに必ず何かある。
そんな凄いポイントを抱えているのだから、膝には何かあるのだ。
スポーツ選手には膝の故障が多い。これは職業病だと言ってもいいかもしれない。
青少年のスポーツ障害でも膝の故障は多い。また、ある程度齢を重ねると、膝に来る。
膝というのはなかなか大変なのである。
また、オーバーウエイトだと膝関節に負担がかかることもあるし、病院に行くと
『年だから膝の軟骨がすり減っているので治りません』と言われたりもする。