操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体書籍専門編集者

中谷彰宏氏の本を読んでいて(正確には「モバイル中谷塾」)、「おおっ」と思ったことがあった。60分インタビューしたら、60ページ本が書けるそうなのだ。また、その人が話したことをその順番で書けるのだそうだ。取材に行く場合、その人の本が100冊あったら100冊読んで、付箋を貼って、その人に会う前に、既に取材原稿が書けるくらいの気概で臨むのだそうだ。



キャパのある人は何でも徹底的にできます。私は取材の時間を60分とれば60ページの本が書けます。相手の言った事は一言もカットしません。これが相手に対する敬意です。読んだ人はびっくりします。普通の取材なら、1時間話してもほんの数行しか書かれていないので、話し手はがっかりします。しかも、一番言いたかったこととは関係のない部分が取り入れられています。私は相手の話したことを絶対にムダにしないし、話す順番も変えません。普通は取材で話したことは再構成されることが多い。でも、話す順番はその人の頭の中で決めていることなので、勝手に再構成してはいけないと考えています。1つもムダにしないためには、自分の軸をきっちり定めることです。事前に相手を徹底的に調べて、本を100冊書いている人なら、本を100冊読んで、線を引いて、ポストイットを貼って、会わなくても原稿が書けるぐらいの状態で行くのです。それで初めて、相手と対等な立場に立てるのです。それが相手に対する敬意です。

明日のためにその31 相手に敬意を持とう










私も何度か取材を受けたことがあるし、師匠は私以上に取材を受けたことがある。師匠がいつも言うのは、インタビュアーの殆どは、事前に下調べなり何なりしてこないということだ。例えば、取材に応じる前に、まず「操体とは何か」という説明をしなければならない。それだけでも結構時間がかかるし、まともに書いてあればいいのだが、『きもちよさを探す』とか、「きもちよく動く」とか大抵は正確さに欠けることが書かれていたりするので、何か取材を受けた際は、絶対掲載前に原稿をチェックするようにしている。以前、手技療法関係の取材を受けた。操体法東京研究会に関する記事の取材である。事前に様々な資料を渡したりしたが、結局できあがった原稿を見て、師匠と私は、これだったら、我々で書いたほうが良かろうということになった。先程の中谷さんの話ではないが、一番言いたいことが書いていないとか、そんな感じだったのである。小説だったら、作家が書いた原稿を素晴らしいエンターテイメントに仕上げるかは、編集者の手にかかっている。しかし、手技療法の専門書なので、理論や正確さが要求されることが多いので、専門知識が必要なのである。



ちなみに、今度出版される師匠の新著は、原稿の段階で私が校正と編集をしている。というのは、私が多分最も師匠の書いている内容に詳しく、操体にも詳しいからだ。『私は先生専門の編集者ですかねぇ』と聞いてみたところ『そうだな(笑)』という答えが返ってきた。



別の知り合いで、ある事業の先駆者の方がおられる。先日専門誌(新聞)の取材を受けてそれが記事になったそうで、やはり専門誌はちゃんと書いてある、とのことだった。○経とか、○売とかでもほんのちょっと間違っていたりすることがあるのだそうだ。



中谷彰宏氏に一度師匠の取材をしていただき「操体とは」ということをまとめて戴きたいものだ。