出張で訪れた大学の近くの美術館で、
ピカソ展をやっていた。
子どもの頃、ピカソというのは
左右非対称でカクカクしたヘンな絵を描く人だと
思っていた。また、自分にはわからないと
思っていた。
ところが、スペインのマドリッドに行って、
あの大作「ゲルニカ」を見てから少し変わった。
ピカソの絵というのは、単に一枚だけ見てもわからない。
あれは、何枚も何枚も展示してあるところで
見ると、響いてくるし、絵柄に意味を求めて見ても
仕方ないのである。
この本は、そのピカソ展の売店で見つけた。
これは、中沢新一氏の
幸福に満ちあふれたバルセロナの旅行記だ。
ページをめくると、
あの古い街並みと、スペインの首都、
マドリッドとは全く違う不思議な感じを思い出した。
マドリッドは山の上にあり、
バルセロナは海沿いにある。
空気も全然違う。
2010年にバルセロナに行った。
バルセロナは午後着いて翌日すぐ次の目的地に発った。
観光と言えばランブラス通りを歩き、コロンブス像を見て
サグラダ・ファミリアは登ることは最初から考えず、
ただ見上げ、夜はガウディの設計したアパートを覗いたくらい。
古い病院を見に行こうとしたら、
スラムのようなところに迷い込んだのだった。
私は数字の勉強をしていた。
数学ではない。数字である。
数字は左脳的数字と右脳的数字がある。
少し前に、カタルーニャ地方、つまりバルセロナが
スペインから独立する云々という選挙があった。
今回、私も地図を見て始めて気がついたのだが、
カタルーニャは三角形なのである。
そして、カタルーニャを表す数字は3。
この土地と3という数字は縁が深いのだ。
3というのは1という男と2という女が
組み合わさった数字であり、一般的には「子ども」を
指す。しかしこの本の作者は「3は結婚とエロティシズムの数」
という。
4は完璧を求める。4は「3って何か足りない」と思っている。
この数字のせめぎ合いが、
その土地特有の空気を醸し出しているのだろう。
いずれにせよ、私は
9月末、気候のいいバルセロナのバルで、
スペインの薄いビールを飲みながら
幸せな気分にひたっていたことを思い出す。