ある方(国家資格を持っており、操体に興味はある。ちょっとやってみてはいる)から聞かれました(複数の方がいらっしゃるので話をまとめてあります)。
この方は、定例的に私のところにやってくる
「操体法は、効くときと効かない時があるんですが?」
「きもちいいというのが、私自身もわからないのですが?」
という質問をしてくださいました。
また、プロ(専門家)なのに、医道の日本社などから出ている、操体の専門書は読んでいらっしゃらないというのも共通です。
さて、これはとってもよく聞く話です。
「効くときと効かない時があるのはどうしてですか?」
話を詳しく聞くと、例えば、膝窩の圧痛硬結ですが、いわゆる、足関節を背屈させ、足背に抵抗(介助)を与え、脱力に導くものです。
これなんですが、操者のポジションとか、足背(そくはい)といっても、足首寄りとかつま先よりとか色々ありますし、足背のどの方向に向かって抵抗介助を与えるのか、身体運動の法則に適い、連動を導き出すポイントというのがあるわけです。
それが、全然伝わっていないからです。
- 操者自身が「身体運動の法則」を理解していない(「つまり、自分のポジショニングとか)
- 操者自身が「連動を分かっていない」ので、足関節を背屈することに終わっている
- 操者自身が「足背のどこに、どのように、どの方向に介助を与えるのか分かっていない」
これらが満たされていないので「取れる時はとれるがそうじゃないときはペケ」ということが起こります。
それで「操体って効かないよね」という輩がいるから困るわけです。
(操体のせいじゃなくて、アナタが分かってないからです)
ある人は足首をガッツリ押さえて
「はい、足首ぎゅ~っと反らせて~。で、ガマンして~。はい、ストン!」と言っていましたが、「ぎゅ~っと」というと、からだがそのように反応します。
そして「頑張るな威張るな欲張るな」ではないですが、たわめの間に、「ガマンして~」などというのは、操体的ではありません。
それはさておき
例を上げてみましょう。これは英語版ですが、操者がなんと横に立っています。日本語版ではこういうのはありませんので、これは、アメリカでこの本を作った人が「やりにくいから横に座ってやればいいじゃん」という、身体運動の法則をまるっきり無視した改悪です。
そして、これは、日本語版のイラストです。多分とっても多くの方がこれを参考にしていると思われます。
拡大図前の絵も結構アバウトですが、このイラストの、足背の持ち方をみてください。
下は足背に手をかけていますが、上の拡大図は、足背というか、足を握っている感じです。
そして、これは、実際の写真です。
どう見ても、足背への介助法がちがいます。
また「操体法写真解説集」を見るとわかりますが(もっと後の本で、手先が鮮明に写っています)、橋本敬三先生は、足背に介助を与える場合、中指と薬指で、床に支えをつくっていらっしゃいます。上のイラストのように、足背を握る、ということではないのです。また、実際にやってみるとわかりますが、握るとしたら、横から介助したほうがラクです。
こうやって考えると、イラストを描いた人は、横から抵抗介助を与えた写真を元に
(つまり手元が見やすいから)イラストを描いたのではないか?という推測もできるわけです。
そしてさらにさらに、この写真では、両足一度にやっていますが、私でさえ、両足一度には滅多にやりません。これは「超上手い人」ならではのテクニックではないかと思います。特に、両方やる場合、膝に介助をすることができないので、足背のどこに、どのように介助をかけるかは、高度なテクニックがいります。
上手く行けば左右一度に圧痛硬結、ボディのゆがみを介助することができますが、我々凡人は片方ずつからやったほうが丁寧な操法ができます。
これも、確実にていねいにやれば、納得出来る結果が得られます。