いわゆる第一分析では、瞬間急速脱力に導きますが、ある条件を満たすと、第一分析でも「瞬間急速脱力」でなくとも、ボディの歪みを正すことができます。
先年、新潟の全国大会で、ある新潟のグループが「般若身経」の実技の際、前屈して、瞬間的に脱力!後屈して、瞬間的に脱力!というのをやっていました。
危険です。
そして、もっと危険なのは、やっている方々が、真面目にやっているということです。
これが危険であるかどうか、ということよりも「操体はなんでもかんでも瞬間脱力」という思いこみが怖いんです。
後屈してお年寄りがコケたりしたらどうするんですか。
また、立位で瞬間急速脱力は、できる人とできない人がいます。
というか、橋本敬三先生は、般若身経で瞬間急速脱力をしろとはおっしゃっていません(立位で、両手をバサッと落とすというのはありますが、前屈後屈とは違います。まあ、連想で「両手をバサッと落とすから、他のもバサッと抜くのかも、という想像から来ていることは推理できますね)。
★ワタシが1999年に、最初に操体の本を書いた時、編集さんが「操体は何でもストンと脱力」という思いこみ?っぽいことがあったので、それについては色々話し合った記憶があります。何でもかんでも瞬間急速脱力ではないのです。
これを言うと「色々なやり方があるから」と言われますが、色々なやり方よりも「安全なやり方」を指導するのが道理ではないかと思います。
「色々なやり方があるから」と放置するのではなく「それは危険」という指導も指導者の責任ではないでしょうか?
さて「瞬間脱力」ですが、脱力と共に戻る人がいます。
膝を倒していたら、もとにピョ~ン、と戻ってしまうんです。結構多いです。
操体における「脱力」は、抜ききることです。
操体の源流と言われる正體術では、脱力の前に「ウサギの毛ほども動かさず」とか書いてありますが、脱力の前段階として、全身を硬直させるという方法もあります。
ヨガの「屍のポーズ」などは、力をぎゅーっと入れてだらーんとします。
操体の場合は、そこまで力んではやりません。
橋本敬三先生のデモンストレーションをみると「静かに、静かに(東北弁なので、すずかに、すずかに、と聞こえます)、はい、ポタッ」のような感じで、患者さんを力ませるような言葉はつかっていらっしゃらないのです。
静かに、というのは「ゆっくり」にも繋がってきますが、急速にバタバタっと動く、という感じはしません。
そして、瞬間急速脱力というのは、意外と導くのが大変なのです。
1976年頃、橋本敬三先生の講義を撮影したフィルムがあります。
画質もあまり良くないのですが、橋本先生が実際どのように声をかけていたか、とか、タイミングなどを学ぶには最適です。
表には一切でていない、秘蔵の映像です。今度はこの映像を2017年の春のフォーラムで公開しようかな?とも考えています。
これですが、被験者役の男性が脱力しないので、敬三先生がキレるというシーンがあります。
橋本敬三先生も手こずったのです。
2017年春季東京操体フォーラムは4月29日にルーテル市ヶ谷センターで開催です。
テーマ: 操体新旧臨床譚~よみがえる橋本敬三&最新症例集(仮)
実技満載。
皆様のお越しをお待ちしております。