操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

「ことばの誘導」はとっても大事です。

こんにちは。仏弟子曹洞宗で在家得度している。父母の実家は曹洞宗)畠山です。

実家の父が入っているお墓は近所にありますが、そこは何故か日蓮宗のお寺です。
父が亡くなった時、丁度「お墓がない!」という時で、ご縁があってそのお寺の墓地を分けていただきました。最近の東京のお寺は「宗派問わず」が多くなりました。

 

一方、ご縁があって、ある真言宗のお寺に行って来ました。わたくし、真言宗もかなり好きなんですが(同門T本君と、高野山東京別院で、金剛界胎蔵界結縁灌頂を受けてきたくらいです)、密教と言えば「三密」です(コロナよりもこっちの三密のほうがずっと昔からあります)。

これ、ホトカミに判りやすい説明が載っていますが、

「身密(しんみつ)・口密(くみつ)・意密(いみつ)」の3つを合わせて三密です。

hotokami.jp

操体操体法を実際に用いるには「ことばの誘導」がとても大事です。


多くの人は「操体っていうのは、テクニックを覚えればできる」と思っているかもしれません。

 

勿論、セルフケアの場合は「自分のからだ」に問いかけるのですから、コツがわかれば大丈夫です(それでも操体は「からだ」に、客観的に問いかけるので、コツは必要です)。

f:id:lovecats:20210513171811j:plain

問題は、他者に行う場合です。

実際、教室や講習では「お互い慣れた人」にやるので、みんな「ものわかりのいい被験者」になってくれます。

 

私も講習でよく見かけますが、操体をある程度勉強しており、連動もわかっていて、感覚のききわけに慣れている人が被験者役をやれば、わりとサクサクっと行きます。

 

しかし、実際に「操体を受けたことがない人」に対して、「操体に慣れていて感覚のききわけに慣れている人」のように接しても、期待したような答えはまず返って来ませんし、動いてくれません。

 

ここが、勉強のしどころです。

 

例えば仰臥膝二分の一屈曲位で、膝を右に傾倒(倒す)場合、

ド素人は「膝を右に倒して下さい」と言いますが、

 

操体のプロはもっと細かく説明します。

どうやって説明するかは(これは勉強してもらわないといけませんので)略しますが、

プロセスを数えると、膝を傾倒するということに対し、スタート点はここ、次はここ、その次はここ、そしてここ、そしてそこ、のように「連動」がアタマに入っているので、途中に「ゆっくり」とか、呼吸の指導をいれながら、全身形態の連動を促します。

 

なお、膝を倒して、というと、柔らかい人は、膝だけバタンと倒したり、逆に固い人は、からだごと転がったりします。こうなると、動診に行けません(汗)。

 

私が三浦先生から習ったのは、この辺りの「動いてくれない人を、どう操るか」ということでした。

 

操体の指導で一番難しいのは、手で触れずに、言葉の誘導だけで、被験者のからだを操るということです(気がつきました?被験者、ではなく、「被験者のからだ」です)。

 

「患者さんが動いてくれない」というのは、「操体初心者あるある」ですが、それは、言葉の誘導になにかあります。

 

というか「からだ」に伝わっていない可能性があります。

 

殆どの人は「被験者のアタマあるいはエゴ」(損得、正しい正しくないで判断する脳)に問いかけていますが、

 

そうではなく「からだ」に問いかけるのです。

 

この辺りをずっと勉強していたら、ヒプノセラピーなどで使う言葉の誘導なども大きなヒントになりました。

 

橋本敬三先生が「患者の意識を変える名人」だったというのは、多分この辺りにあったのではと思います。

 

三浦先生の言葉の誘導も、かなりこの辺りが入っていると思います。

 

以前、丸暗記は得意なので、三浦先生の誘導の文言はまるっと覚えて、実技でもそれを再現できる人がいましたが、どうも言葉が響かないということがありました。

 

よく観察すると、丸暗記の棒読みの一本通行なのでした。

 

要は、自分が一方的に、立て板に水的にぺらぺらと喋っているだけで、被験者及び被験者の「からだ」は「???」という感じです。

 

操者だけがわかっていて、ぺらぺら喋っていても、ダメなんです。

これを「どうやってからだに伝えるか」という勉強が必要です。

 

 

催眠ガール

催眠ガール

Amazon

 これは、私がかなり読んでいる大嶋信頼さんの小説です。

女子高校生が主人公の「小説」ということで、後回しにしていたのですが、この前時間ができたので、読んでみました。

 

素晴らしい本です。

本自体が、「催眠」のスクリプトになっているのですが、読むと「心が自由になる」という感覚が、よくわかります。

登場する「サラリーマンみたいな普通のおっさん」は、大嶋さんの本によくでてくる「催眠のお師匠さん」です。

多くの場合「催眠」というと、サルにされるとか、自分の恥ずかしい秘密を喋っちゃうとか、なんだかそんなことを想像することがありますが、ここで出てくる「催眠」は「なんにもしない」ということ。

 

セラピストのみならず、対人サービス業の方は、是非お読みになってみてください。