操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

第38回全国操体バランス運動研究会(zoom参加)

昨日はzoomで「第38回全国操体バランス運動研究会」に参加しました。

 

シンポジウム『操体法における「脱力」の捉え方』というプログラムあり、パネリストの先生方が、色々発表していましたが、奈良の北村先生が「小学生男児に立位で瞬間急速脱力させたら、全身の力を抜いて床に倒れてしまった」というような話をされていました。

 

私もそれはそうだなと思ったので、以前(新潟大会で、新潟の皆さんがやっていた)般若身経を、瞬間脱力でやっており、後屈時に瞬間脱力をしていたのを見て、危険だなと思ったことをチャットでコメントしました。

 

なお、第一分析(対になった動きを比較対照し、楽な方に動かして瞬間急速脱力)であれば、瞬間脱力でもよいかもしれませんが、第二分析(一つ一つの動きに快適感覚を聞き分け、味わう。動診では比較対照しない)では、瞬間的には抜けません。

 

というのは、「きもちよさ」を味わっている時は、瞬間的には脱力できない(すんごくキモチよさを味わっている時に、瞬間的に抜けませんよね)んです。

 

さてここで補足です。橋本敬三先生は「きもちいいほうに動かして」とはおっしゃっていますが、「比較対照する」とは言ってないんです。

 

・楽な動き(二つの動きを楽か辛いか、スムースかひっかかるかなどで比較対照し、楽な方、スムースな方を選択する場合、第一分析)は、瞬間的に抜いてもいいんですが「楽な動き」は、何度やっても「快」にはなりません。

★なので「楽と快は違う」ってクチを酸っぱくして言ってるわけです。

★「楽な方に気持ちよく」っていうのがダメなのは、こういう理由です。何度も言いますが、他の治療法や健康体操や養生法ならば「楽な方にきもちよく動く(整える)」って言ってもいいですが、「操体」「操体法」としてやるのであれば、それはペケです。

操体操体法をやっているとうたうのであれば、ちゃんと患者様を診ているとか、操体で臨床をやってるのであれば「楽(動き)」と「快(的感覚)」は、区別し、楽を通すなら、第一分析のやり方、快を通すのであれば第二分析のやり方(この二つは全く違います)をやる必要があります。

何故でしょう。この二つを曖昧にして

×「楽な方にきもちよく動いて」(楽な方がキモチイイとは限らない。むしろ楽でなんともない方が多い。快は比較してもわかりにくい。快は相対的ではなく絶対値ではかるほうがわかりやすいのです。また可動域が大きいのが快だとも限りません。これは操者の決めつけになってしまいます)

×「どちらがきもちいいですか」

 

というと、被験者(患者様)が迷ってしまい「わからない」ということになり「私には操体を受ける才能がないのか」など、ネガティブな気持ちを誘発してしまうからです。

 

○「どちらが楽ですか、つらいですか」(第一分析)

○「これ(一つ一つの動き)に、きもちのよさがききわけられますか?からだにききわけて、教えてください」(第二分析)

 

橋本敬三先生ご自身も「万病を治せる妙療法」の時代は、確かに「楽と快の違い」が明確にはなっていないような感じがありますが、82歳の時には三浦先生に、90歳、卒寿の祝いの席では弟子達に「楽と快は違う」呼吸は自然呼吸でいい(呼吸に意識を置きすぎると、感覚がおろそかになるから)」とおっしゃっています。

 

創始者が言ってるんだから「楽と快は違う」っていうことを、もうちょっと真面目に考えて欲しいですね(操体をやっていて、まだ曖昧にやってる人)。

 

×操体を長年やってる人でもありがちなパターンが

操者「どちらがきもちいいですか」

患者「う〜ん。わかりません」

操者「それじゃ、きもちよさを探して〜(色々動いてみて)」

(この場合、探してもわからないか、痛くなくてなところはわかる。きもちいいところは見つかりません)

患者「う〜ん。わかりません」

臨床玉砕。

 

また、私が聞いた話ですが、センセイがしつこく聞いてくるので、面倒くさいので「こっちです」と、適当に答えたという人も。

 

操者:患者さんがきもちいいって言ってくれない、動いてくれない(こう言う場合、大抵「操体のせい」にする)

操体のカミサマ:それは操体が悪いんじゃなくて、オマエの指導の仕方が悪いんじゃ〜!

 

となります。

 

話を戻しましょう。

 

その後は、加藤平八郎先生の講義でした。橋本敬三先生とは、会津中学(旧制中学。現高校)の大先輩と後輩の関係である加藤先生は、会津中学(高校)の同窓会にお供したことがあるそうですが、その時のエピソードなども伺うことができました。

 

私は三浦先生と一緒にzoomで参加していたのですが、三浦先生によると、橋本先生から「会津の話」は聞いた事がなかったそうです。加藤先生には、会津の後輩ということもあり、その辺りの話をされたのかな、と思います。

 

会津はご存知のように、明治維新後、逆賊として扱われました。会津中学(高校)も国からお金が出たわけではなく、地元の篤志家からの寄付で建てられたそうですし、私自身(これは戯言だと聞いていただければいいのですが)前世は『戊辰戦争で死んだ会津の坊さん(か、尼さん)』だったらしいので、色々あるわけです。

 

(おまけ)

なお、私は日本史が好きなんですが、何故か以前から「明治維新」が全く頭に入らなかったのですが、ある時「それはオマエが『戊辰戦争で死んだ会津の坊さんだったからだ」ということを知りました。それから、維新あたりのことが頭に入ってくるようになったんです。

 

そしてゲストで「正心調息法」の先生がお二人(姉妹らしい)で講義を。

私自身「正心調息法」って名前は聞いた事あるけど、よく知りませんでした。

 

「ポジティブに」「感謝」「グチを言わない」(すいません、サマライズしてます)という心の持ちようと、呼吸法を組み合わせたものです。

 

「ポジティブ」「感謝」「グチ言わない」っていうのは、操体の「想」にも通じますね。

 

正心調息法の創案者、塩谷信男先生は、橋本敬三先生より少し年下ですが、やはりお医者さんであり、橋本敬三先生も96歳のご長寿を全うされましたが、塩谷先生は、106歳のちょっと前に亡くなられたとか、いわゆる「手当治療」をして東大から追い出されたとか、松下松藏(ググってください)さんから「治すちから」を頂いたとか、90歳越してから本を書きまくったとか、かなりな人だったようです。

 

私も早速昨日まずはAmazonのアンリミテッドで関連書籍を数冊読んでみましたが、なんだか本当にぶっ飛んだ人だということが分かりました。

 

私自身、橋本敬三先生は結構ぶっ飛んでいると思っていたのですが、塩谷先生もかなりすごい人なんだなと思いました。

 

そして、早速数冊密林でポチってみました。

 

うちの師匠(三浦寛先生)も、かなりぶっ飛んでいますが、世の中にはまだまだ面白い人がいるもんです。