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操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体と編集。

 熱海の夜、松岡正剛さんや、他の参加者の方々に「操体とはなんぞや」ということを説明する機会に恵まれました。松岡さんに「『操体』を説明するのは『編集』を説明するくらいやっかいです」と伝えたところ「なるほど」とおっしゃっていました。
私が「ISIS編集学校」に入った時、人に説明するのにとても手間がかかりました。コピーライターの学校に行っているのかとか、赤鉛筆をもって校正をしているのかとか、シナリオの勉強でもしているのかとか。

操体」を説明するのも手間がかかります。編集稽古同様実際に受けてみれば何だか「体感」できるのですが。親指を2本出して(浪越徳治郎先生のポーズ)「マッサージですか?」(いやそれは指圧のポーズじゃ)とか「整体ですか」と、私達東京操体フォーラム実行委員はうんざりするほど聞かれているはずなのです。

この日も「操体と整体はどう違うんですか」と何人かの方に聞かれました。編集稽古に正解がないように、操体にも正解はありません。ないというか、相手によって説明を変えていくのです。

-仙台の橋本敬三という医師が創案し、臨床で用いていたもの
-その中の一部が「健康体操」として広がっていること
-愛好家(アマチュア)が多く、臨床(治療)ができるプロは少ないこと

というバックグラウンドから話すこともあります。

皆さん、からだが歪むのは良くないことだというのはご存じですよね。良くないことは知っているのに、何故歪むのか、ということを皆さん説明できないんですが、操体は「ボディの歪み」に注目します。人間には「呼吸、食事、身体活動、精神活動」という、他人には代わってもらえない営みがあります。これを「息食動想」と呼んでいます。この営みのバランスがとれていれば、健康な生活が送れます。この営みは独立したものではなく、お互いに補い合って連動しています。
「同時相関相補連動性」といいます。
呼吸の専門家がおり、食養の専門家がおり、身体運動の専門家がおり、心の専門家がいますが、操体はこの4つをまとめて面倒をみるというわけです。
この4つの営みには、それぞれ法則(ルール)があります。そのルールを守らないと、ボディに歪みが生じます。
西洋医学は胃にピロリ菌がいるから胃が悪くなる、と言いますが、操体は全く逆の順番で病気を捉えています。
自分で責任を取る(自己責任)の4つの営みのバランスが崩れると、歪みが生じ、それが段階を踏んで「何となく変だ」という不定愁訴の状態から、段階を踏んで「胃が痛い」「調べたら胃潰瘍だった」というように、機能破壊、器質破壊と進んでいきます。

操体では、ボディの歪みを正すことによって、二次的に症状疾患を改善させます。
なので、操体には「○○に効く操法」などのような考え方がないのです。

ボディの歪みを正すには?
そのために私達は「動かして診る」という、操体独特の診断分析法を用います。動かした時の感覚、例えば「楽でなんともない」「こちらは辛いけど、こちらは楽です」「この動きはきもちいいです」など、感覚に対する感受性は様々ですが「感覚は本人にしかわからない」のです。そして、操体は「きもちよさを味わうと、ボディの歪みが正される」という特徴があります。

しかし、現在多くの人達が「原始感覚」(快か不快かききわける能力)が鈍っています。からだは本来きもちよく治りたいのですが、考えすぎて(アタマを使いすぎて)原始感覚が鈍っているため「快適感覚」をききわける力が弱っているのです。その、鈍っている「原始感覚」を呼び覚ますお手伝いをしているのが、私達操体指導者なのです。
これは、操体では「病気になる順番と治る順番」という視点から説明したものです。
操体は様々な角度から物事を語れます。これも「編集」。