操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体の「新創生期」とは。操体の節目

現在、操体の臨床家(クライアント、患者様を診ている先生方)の殆どは、操体法東京研究会の定例講習出身と言っても間違いありません。

 

また、橋本敬三先生が顧問をなさっていたのも、この定例講習です。

私自身、橋本敬三先生が講習を終えた受講生に向けて書かれたメッセージを頂いたことがあります。

 

ここで学んだ先生方、例えば、滝津弥一郎先生、根本良一先生、今昭宏先生は、操体法東京研究会の初期の受講生です。
また、奈良の北村先生、渡辺栄三先生、瓜生良介先生なども同様です。


何名かの先生から聞いたのは、橋本敬三先生ご自身は講習などはやっておらず、「東京に弟子の三浦がいるからそっちに行け」と言われた、とのことです。

 

三浦先生に聞いてみると、受講生が「橋本先生に会いたい」というので、受講生を引き連れて仙台に何度か行っている、とのことでした。

 

さて、9月から操体法東京研究会の定例講習の新タームが始まります。

新創生期(第二期)です。

www.sotai-miura.com

 

さて、何が新創生期なのでしょう。

 

操体は何度か節目を経験しています。

 

それは、正體術矯正法から、操体へという変化。

そして、1980年代の「楽な動きから、快適感覚へ」という変化
(今だにここから抜けられないヒト達もいますが、それは致し方ありません)


★「動き」から「感覚」がメインになったのです

 

そして「皮膚へのアプローチ」。

 

そしてそして、操体に、また新しい「時代」が訪れました。

 

私はそれを聞いた時「こりゃ大変だ」「えらいこっちゃ」と思いました。

 

何が「えらいこっちゃ」なのかは、これからだんだん明らかにされるでしょう。

 

 

 

GWの集中講座初日。

今日からGWの集中講座が始まりました。

考えれば、GWは大抵集中講座をやっています。去年は5日間操体まみれだったワケですが、何だかすごく面白い5日間でした。

 

今年は3日間の開催です。

 

5月1日日曜の定例講習の後、三浦先生が3日間参加するT君に「参加すると、いいことがあるぞ(笑)」と話していました。

 

途中で三浦先生も参加し、モデルのA先生(フォーラムにも来て下さいましてありがとうございました)に「足趾二人攻め(?)」や、「渦状波®と足趾の操法®のコラボ」など、色々なことを試し、最後は外気功基礎の基礎で締めました。

この他にも色々やったのですが、非常にリッチな時間の使い方というか、濃厚というか、参加者は「おなか一杯」の状態だったようです。

 

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★渦状波®中。

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集中講座は明日も続きます。

 

春のフォーラムを振り返って

今回のフォーラムは、操体とは何ぞや、ということを、歴史とその変化を紹介しました。その後、般若身経を参加者に体験していただき、今までのものとの変化を体感していただきました。

 

上手い下手、どこで分かれるのでしょうか?

 

上手いとは

  • 運動効率、作業効率がいい
  • 疲れにくい
  • フォームが美しい
  • 身心の平静を保つ

ということが挙げられます。

私が重要視しているのは、「フォームが美しい」ことです。
これは、客観的に観てもわかりますし、それこそ「見たまんま」です。ウサイン・ボルトのような特別な例もありますが、フォームの美しさはそのまま上手いに通じるのです。

 

 

面白かったのは、骨盤の反りによって「上手い下手」がわかれること。

骨盤が反っていると、感覚が優位ではなくなります。骨盤が反ると、膝の裏すじが伸びて、足の小指側に体重がかかります。
これはどういうことかというと、戦の時、相手を「モノ」として殺害、倒す場合の姿勢です。感覚が優位になると、人を殺したりはできなくなりますから。軍隊の歩行法や、姿勢の作り方は、感覚を鈍くして War Machine を作っているのかもしれません。

 

逆に、骨盤が反らずに、前弯曲(恥骨が前方に行く)していると、感覚優位になります。操体の基本姿勢はこの「前弯曲」ですが、これは、操体がクライアント、患者様を「モノ」ではなく、一人のイノチとして、愛をもって接することを示しています。

 

また、「目線」と「視線」の違いがますます明確になりました。
会場で、これを初めて体験する人は、皆「あれ?」と驚いていました。

 

その後、タスクチームの若手による事例発表。

寝たきりの方が歩けるようになった話、実際の付き添い介護での活用など、興味深い事例が紹介されました。これは、病院などの設備が整ったところではなく、実際の現場の話です。

 

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春季フォーラム、無事終了しました。

こんにちは。畠山です。

4月29日開催の春季東京操体フォーラム、無事に終わりました。

 

ご参加、ご協力いただいた皆様のおかげです。


今回はゲストスピーカーなし、という構成でしたが、若手の発表や、新しい理論の発表、いつもの方、久しぶりの方など、色々印象深いフォーラムでした。

 

また、今回は今までの常識を覆すようなこととか、「目」からウロコの実験があったり、未公表の「第五分析」の片鱗が見えたり、参加者の皆さんも実際にやってみて「えええぇ?」とか「うわ〜」という感じのことが起こりました。

 

私達がいつも意識しているのは、初めてお越しになった方にも分かりやすく、しかし分かりやすいと言っても相手はプロの場合(手技療法でも、ビジネスでも、芸事でも)が、殆どなので、素人さん向けのちゃっちいお話や、専門家にしかわからないマニアックな話は避けるようにしている(そのための工夫をしている)ということです。本当に操体初めて!という方には、スタッフからのフォローもあるんですよ。

 

さて、今回東京操体フォーラムの相談役に就任の、ミスカトニック先生が、ブログで今回のフォーラムを紹介して下さいました。

素晴らしいご紹介なので、リンクを貼らせていただきました。

当事者は発表や進行にワタワタしているので、このように書いていただけると、本当にありがたいのです。

 

身体化された心~操体フォーラムを終えて~ | 人気占い師養成講座

uranai-consul.com

 

ありがとうございます!

 

 

私は「操体にはこれだけある」という一覧を紹介し、第一分析と第二分析を混同している「迷走分析」、つまり「どちらがきもちいいですか」とか「それがわからなかったらきもちよさを探していろいろ動いて〜」という、楽(運動分析)と、快(感覚分析)をの区別がついておらず、口先だけで「きもちよく」と行っているクソみたいな(すんません)ことをやってるヒトもいるということ(『迷走分析』をやってるちゃんと勉強してない人達のお陰で『操体ってわかんない』とか『きもちいいって言われてもわからない』というヒトが増えて、操体の可能性や評価を落としてますし、何よりも『効果が出ない』ということなんです)、


これを言うと、色々なやり方があっていいという意見が出ますが、私達は仕事でやってます。結果が必要です。

色々あってもいいんですが、結果なんです。 

皮膚へのアプローチ(渦状波、第三分析)にせよ、出た時、コンサバな操体関係者は「皮膚なんてバカみたい」と言いました。

ところが、近年は、全国大会に出られるような方が「皮膚の操体マッサージ」みたいなことを、さも、最初から、操体には皮膚へのアプローチがあります、みたいに言ってます。


つまり、東京操体フォーラムでやっていることは、今、コンサバな操体関係者にアホとか言われても、10年すれば、コンサバさん達は、さも昔からあったように、以前バカにしたことは忘れたように、「操体って皮膚よね〜」とか言うのだ!

という話ができました。

まあ、渦状波のやり方も、ここ一年でがらりと変わったので、昔の本とか動画とか見ても多分分からないと思うんですけどね。

 

また、単に触っただけでは、ダメなんです。

 

というわけで、レポートは続きます

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うにゃ!

 

春季東京操体フォーラム事前申込みは今日までです

昨日の「上手い下手 秘伝公開」にも書きましたが、フォーラムは、発表者が「秘伝」をぽろりと漏らしたりする?チャンスです。

そして、2016年春季東京操体フォーラムの事前申込みは4月25日、今日までです。

 

努力が結果に結びつかない

イタいと言われる

手技療法や癒し関係の仕事をしたいが、触れ方がイマイチだ

好印象を与えたい

なんでもいいから?上手くなりたい

 

また、○○道、などの芸道にも通じるヒントが満載です。

★今回は「芸事」にかかわっている方々にも来て頂きたいんです

 

などなど、色々なお悩みにお答えします。メインは「からだの使い方」ですが、息食動想(呼吸、飲食、身体運動、精神活動)に係わることでしたら何でもOKです。

 

上手くなることができるのは、自分でアクションを起こしたヒトだけです。

 

上手くなりたい、と、漠然と思っているだけではそのままです。

 

お待ちしてますよ。

 

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藤の花。満開です。

 

 

上手い下手。秘伝公開。

今日は午前中「足趾の操法集中®集中講座」。
(受講者絶賛募集中)

teizan.com

本日、一般社団法人日本操体指導者協会認定の「足趾の操法®アドバイザー」がまた一人誕生しました。おめでとうございます。

卒業試験?では三浦寛先生にモデルをしていただき、先生に評価していただきます。
その際、最後に本日の「新米足趾の操法アドバイザー」に、「おおっ。先生、秘伝公開ですな」というアドバイスがありました。


この「秘伝」を知るか知らないかで「上手い下手」が決まってくると言っても大袈裟ではありません。

 

単に講義をこなすのではなく、こういう「秘伝」のやりとりがあるのが、操体法と東京研究会の講習です。

 

4月29日の東京操体フォーラム、5月3日〜5日の「GW集中講座 外気功基礎と連動学」でもこのあたりをご紹介します。

teizan.com

 

午後は「新創生期操体法特別臨床講座(第二期)」。9月から新タームも始まります。

詳細と要項はこちらをご覧下さい。すでにお申込を頂いております。

 

単に講習をスケジュール通りにこなすだけでは、本当に臨床に活かせる実力はつきません。付け焼き刃でやり方だけ覚えても役には立たないのです。


「秘伝」まで取得したいと思いませんか?

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保険治療と操体。

今年で正式に開業して18年になりますが、昔は「健康保険きかないんですか」という方が結構いらっしゃいました。

今はいません。

 

私の師匠、三浦寛先生は、鍼灸師柔道整復師の免許を持っていますが、柔道整復の保険を使った治療はしたことがないそうです。

 

なお、橋本先生も昔は保険治療をしていたようですが、ある時保険治療をやめたところ、患者さんが来なくなった、という話も、実際温古堂にいた私の師匠から聞いています。

 

実際、テレビで放映された時は初診料3000円、治療費2000円です。当時の貨幣価値と今の価値を比べると、約二倍だそうですから、温古堂では自費診療で初診で約10000円だったということですね。

 

さて「医道の日本」誌に、三浦先生よりも10年程後に温古堂に勤めていた、宮崎の今村先生の寄稿が載っています。 

 

この記事を三浦先生と実行委員の半蔵さんに教えていただき、早速見てみると、整骨院を宮崎で開業して32年。毎日の手技は温古堂操体法のみで、高い臨床効果を体験しています、と書かれています。

 

これは私も感じていることですが、ここ数年、クライアントの愁訴の原因があきらかに変わってきています。つまり、第一分析(上で言う温古堂操体法)では、間に合わなくなってきているのです。

操体のみならず、例えば他の手技でも、20年前以上は「仙骨だけ調整すれば全身OK」とか「ホールインワン・テクニック」と言って、頸椎1番を調整すれば全身OK」のようなものがありましたが、最近の「心身両方にまたがる愁訴」には間に合わなくなってきているのです。

 

それでも、第一分析(温古堂操体法と記載されている)で高い臨床効果があるというのは、なかなか不思議なことでもあります。

★効果がないわけではなく、勿論有効ではありますが、想定外のクライアントが増えており、第一分析では間に合わないケースが増えているのです。

 

これは、宮崎県で保険のきく整骨院だから、ということも考えられます。
患者さんの愁訴の度合いや年齢層、愁訴の原因などが東京などとは違うのかもしれません。

 

また、三浦先生や私は初診・初回の場合は一時間半くらいはかけますが、整骨院で保険治療で、一人の方に一時間半はかけられないはずです。


また、

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三浦先生のところや、私のところには、近所の人はあまり来ません。

 

保険治療でもないし、完全予約制ですし、看板も出ていません(笑)。
色々調べてみた、あるいはご紹介であるとか、島地勝彦先生のメールマガジンを読んで(三浦先生がシマジ先生の首の痛みを一瞬で解消した話とか「もう三浦先生なしでは生きて行けないカラダになってしまった」というコメントとか)とか「近所にあるから行こう」という感じではいらっしゃらないのが事実です。

 

柔道整復師向けに短時間で矯正を行う、操体の考えをもとにしたという手技療法もありますが、私から見ると「可動域」優先で「感覚優先ではなく」カイロプラクティックの矯正に近いものを感じました。提案者本人から「操体の考えをモトにしているが、操体ではない」と聞いた記憶があります。

 

保険治療で操体を組み入れる場合は、あまり時間をかけられないのです。なので、第一分析(あるいは第一分析に近い矯正法)をやることになるのは当然でしょう。

 

この辺りは、柔道整復で保険治療をなさっている先生方に聞いてみようと思います。
(私の知っている柔道整復の先生は、保険治療をなさっていますが、操体は自費、という方ばかりです)

 

さて、今村時雄先生(今村整骨院)の寄稿ですが、

今回は「正體術と操体法の違い」です。

 

これは読んでいただくと分かるのですが、その比較になっているのが、昭和12年に書かれた「求学忘備録」です。ここに書かれていることを「操体法の特徴」として一覧にされているのです。

昭和12年は、まだ「操体」「操体法」という言葉もありませんし、まだ体系が確立されていたとは言えません。この、昭和12年の原稿を、果たして「操体の定義」としてもいいのか、多少疑問が残ります。むしろ、操体の黎明期に、まだ楽と快の区別が曖昧で、感覚分析よりも運動分析に近い時代のものとして捉えるといいのかもしれません。

 

また、これは当然ではありますが、般若身経でさえ、橋本敬三先生により変化していますし、晩年に「楽と快は違う」と明言されています。昭和12年当時の青年橋本敬三と、昭和も終わりの頃の橋本敬三翁では、考え方や理論などに進化や変化があってもおかしいことではありません。

 

ここには「右重心の体勢の詳細記載あり」「快不快をたずねる」とあります。

が、考えてみると、昭和12年には、まだ、概念はあったものの「操体法」という名称はありませんでしたし、この頃の文章を見ると、橋本敬三先生ご自身、快と楽の違いがまだ明確ではないように思えます。

 

また、当時の動診操法を観ると、比較的快適感覚が聞き分けやすいものがあるのも事実ですが、これは後の第二分析(一つ一つの動きに快の有無をききわける)の原点でしょう。
後に、楽と快を混同した「どちらがきもちいいですか」という、的外れな問いかけがおこりますが、これとはベツモノです。

「その動作のうちどれに一番快感があるか(比較対照はしていない)。またどれくらいの程度に力を入れさせて動かした時に一番具合がよいか、などを見極めて。一番ラクな、そして呼吸が深まるようなところまで持ってこさせて数秒間静かに支え、さて急に瞬間急速脱力させる」(⇒快方向への動き)

という文章が操体法の特徴として、「求学忘備録」から引用されています。

上の赤字を見て頂くと「快」と「ラク」をほぼ同じ意味で使っていることがわかります。そして、これはポイントなのですが、比較対照していません。

この場合は極めて第二分析に近いのです。

 

★私が「的外れ」と言っているのは「快を比較対照する」誘導の方法です。一つ一つの動きに快の有る無しを問いかけるのとは、全く違うということです。

★何回でも言います。快というのは感覚なので「絶対値」であり、簡単に言えば「どれくらいきもちいいか」という問いかけです。比較対照の「どっちがきもちいいか」ではないんです。「どちらが」という問いかけをする場合は「どちらが楽ですか」「どちらが動かしやすいですか」というように、運動分析で問いかける必要があります。

 

★この違いがわからないと、操体を理解することはできません。

 

橋本先生は卒寿のお祝いの席で「楽と快は違う」とおっしゃったそうですし、その頃と昭和12年当時と考え方などが全く同じだったら・・・そんなことはないでしょう。