操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

2022年秋季東京操体フォーラム プログラム

こんにちは。TEI-ZANの畠山裕美です。

2022年秋季東京操体フォーラムのテーマは

 

自力自療で伝わるもの

からだが主語になるための工夫

 

です。

 

「自力自療」は「自分で治せる」という印象を受けると思います。

操体」に興味を持つ人も「自分のからだを自分で治せるなら」というのがきっかけの場合が多いのも、事実です。

 

しかし、操体で「自分のからだを自分で治せるなら」、日本中、いや世界中の人が操体をやっていて、広まっていてもいいと思いませんか?

「自力自療」と言っても、それには「作法」と「コツ」があるのです。

 

変な話ですが、この「作法」と「コツ」は、本では伝えられないし、一方向的な動画などでも(コツが分かっていれば、動画は最適な学習ツールです)伝わりません。

 

また「健康の度合いが自力自療のレベルに達していない」場合は、専門家が、「自力自療ができるレベル」まで持って行く必要があります。

 

私の所には、年間かなりの数の「操体の本を読んだけど、よくわからない」という方がいらっしゃいます。

 

しかし、実際に体験(からだで体験)して頂くと

「あ、なるほど」と、理解していただけることが多いです。

操体の理解を深めるために、我々操体のプロがいるのです)

 

今回私(畠山)は、
操体概論的な基礎知識(1)」
操体概論的な基礎知識(2)」を担当します。

 

2022年秋季東京操体フォーラム | Tokyo Sotai Forum

 

www.tokyo-sotai.com

 

 

開催日時:2022年11月23日(水)勤労感謝の日 9時~17時半
開催方法:会場(三軒茶屋)とオンライン(zoom)のハイブリッド
(会場参加は一般社団法人日本操体指導者協会会員優先とさせていただきます)
参加費用:
A:前夜祭、記念Tシャツ一枚込み(申込みフォームにてサイズをお知らせ下さい)10,000円
B:フォーラムのみ参加 7,000円

お申し込みフォーム

操体についての問い合わせ。

昨日、電話をいただきました。

 

操体やってるところを教えてほしい」というのはよくあるお問い合わせです。

 

これは結構根深い問題です。

昔は農文協の「操体法の実際」の巻末に「操体法実施施設」が、掲載されていたのですが、問い合わせても「実はやっていない」というところが多かったので、削除になったそうです。

 

私は健康体操的に操体をやっている方にケチをつけている訳ではありませんのでご容赦を。

 

例えば「万病」とかNHKのドキュメンタリーをみて「操体受けたい」と思う人がいます。操体法実施施設という名称からは「操体治療をしてくれるところ」を、想像するはずです。

しかし、連絡をとると、治療や施術はやってない。体操教室はやっている。

 

体操教室で問題解決するケースばかりではありませんし、本を見て連絡するような方は、深刻度は高いでしょう。

 

三浦先生によると、橋本敬三先生でさえ、リウマチの患者さんには苦労(動かすと痛い)していたというのです。

 

健康体操的に操体をやっている方のところに、リウマチとか自己免疫性疾患の方がきたら、もう大変です。

 

実際、他にも「操体って書いてあったけどやってもらえなかった」という話はかなりあります。

 

 

話を伺うと、大阪に操体の事務所のようなものがあって、そこでやっている体操教室に参加した、肩凝りを治したいと思ってその事務所に電話したんだけど、電話が繋がらない」とのこと。

 

 

うーん。多分東京操体フォーラムとか、一般社団法人日本操体指導者協会のサイトをご覧になってお電話をくださったのだと思いますが「大阪の操体の事務所」と言われても、わかりかねるのです。

 

関西操体ネットワークとか調べてもわからず。

 

操体って、肩凝りにきくんですか」とおっしゃるので

 

「拝見しないとわかりませんが、私自身は、体操教室的なものではなく、操体専門で開業しているので、そういう方は良く施術や個人レッスンにいらっしゃいますが」

 

「何でも自分で治せるわけではなく、程度にもよりますし、専門家が、自力自療が可能なレベルに、引き上げれば、その後は自力自療でも対処可能です。」

 

と、答えました。。

 

その事務所については存じ上げませんが、常駐スタッフがいないか、治療院内ならば、木曜日なので休診日かもしれません。また明日連絡を取ってみてください」

 

 

 

 

左腕の痛み(続編)

英国のエリザベス女王の訃報が届きました。

私が子供の頃から、イギリスの女王はエリザベス女王だったので、なんだか未だに信じられない感じです。様々な方がTwitterなどで弔意をあらわしていますが、先程改めてロンドン・オリンピックでボンドと共にヘリからパラシュートで降りてくる演出や、パディントンとお茶を愉しみ、パディントンが帽子の中から「緊急用ママレードサンド」を出すと、女王陛下もハンドバッグからママレードサンドを出すというのを見ました。

最後に、紅茶のカップを女王陛下が叩くのもいいですね。。

 


www.youtube.com

 

橋本敬三先生も96歳で祖神の里に還られました。

 

昨日書いた記事です。

blog.teizan.com

その後、一名ならず数名の方から質問があったので、お答え致します。

 

「自分も左腕が痛いんだけど、どこを押したら治るか」というご質問です。

理由については、お一人は、ワクチン接種後、もう二人は不明、もう一人は、ここ数ヶ月(多分五十肩)とのことでした。

 

そして、最初にお断りしておきますが、私はドクターではないので
「ここを押したら治る」(治る、というのが問題です)とは言えません。

よく雑誌の特集などで「肩こりに効くツボ」とかありますが、「治る」はアウトで、「効く」はセーフ?みたいな。。。

例えば「疲れ目に効くツボ」というのは、疲れ目が多少緩和されるかな、くらいの感じです。

雑誌の特集などで「ここを押すと疲れ目が治る」と書いてはいけないんです。

 

というわけで、本題に戻りましょう。

 

もともと、操体には「症状疾患別」という考え方がありません。

どういうことかというと「○○に効く操法」というのは、ないのです。というのは、

「全身のバランスをととのえることによって(ボディの歪みを正す、あるいは軸の不正を正す)、二次的に、症状疾患を解消する」ものだから。

 

つまり、対症療法ではないのです。

 

対症療法を手技療法的に説明すると「この症状にはこの方法」的な考え方のことを言います。

 

まあ、殆どの方は「腰が痛かったらどうすればよいか」ということを考えますが、操体では「腰が痛い」のは「サイレン」であると考えます。

 

サイレンというのは、どこか火種が火元となり、火の手があがり、火災報知器に反応して、報知器が鳴っている状態です。

 

対症療法とは、このサイレンに放水しているのと同じなのです。

サイレンに水をかけても、火元と火種をどうにかしないと、問題は解決しません。

サイレンも水をかけ続ければ壊れて鳴らなくなりますが、火種火元は消えていません。

くすぶっていて、また燃えるかもしれません。

 

遠回りのようですが、火種・火元を色々な方向から(息食動想とか、環境とか軸とか、バランスとか)どうにかしよう、というのが、操体です。

 

 

また、経絡や経穴もあながち操体と別問題ではありませんが、本来経絡や経穴も、そこを押したり鍼を打てば治るのではなく、経絡や経穴治療を行うことによって、気の巡りをととのえ、その結果調子がよくなる、症状疾患が改善される、というしくみになっています。

 

反射点といって、からだのある部分に対応するところはありますが、そこを押せば治るというわけでもありません。

 

そして、人間のからだはそんなに単純ではないのと、同じ左腕の痛みでも、それが痛みとなって現れた原因や、起こってからの時間は人それぞれです。

 

原因と、発症からの時間が違えば、

 

Aさんにはこれが効いても、Bさんには効かない。

そのような「想定外」ばかりなのが、実際の臨床です。

 

実際に、学校などで「腰痛にはコレ」といって習ったものが、現場では全くダメということは、かなりあります。

臨床現場は想定外が多いのです。

 

治癒への道は、一人一人違います。


万人によいというものは、それだけ効果も薄いものなのです。

 

ちなみに、私自身は「押して治るところを教えて欲しい」という質問に、あらためて

操体の常識は世間の非常識なんだな」と思いました。

 

「それは私も教えて欲しいくらいです」と思ったりすると、橋本敬三先生から

 

「そんな、おうぢゃぐ、すんな!」と、スリッパとか飛んでくるかもしれません。

 

 

 

 

左腕の痛み。

この前から、左上肢の痛みと不調を訴える方によく遭遇します。。

 

今回は「左腕を下にして寝たのかも」と言う方。

 

仰向けに横たわったまま、三角筋のあたりを指差します。

 

ここで運動分析をしてもよかったのですが、私の頭の中に

 

「梨状筋、チェックしてみれば??」という直感が降りてきました。

 

ちょうど足元に座っていたので、梨状筋をチェック(操体を勉強していれば、どっちの梨状筋かわかりますよね)。

 

逃避反応があります。

 

そこで、D1'(ディーワンダッシュ)で、狙い撃ち。

 

終わってから、

「腕、どうですか」と聞いてみると

「あれ?痛くないです」とのこと。

 

こんなにうまくいくのは、珍しいのですが、原因が寝違いだったのと、こじらせていない(痛めてから日数が経っていない)からでしょう。

 

 

ワクチン接種後の痛み(その後)

先日「ワクチン接種後の腕の痛み」について書きました。

これは、よく聞く「ワクチン接種後、動かさなくても腕が重くて痛い」というのとは少し異なり、

・接種数日後は腕が痛くて重かったが、それは1週間くらいで消失

(私もこの時は、高熱が出たのでカロナールを飲んでました)

・1週間後あたりから、左上肢に違和感を感じ、エプロンの後ろのボタンをかけられないことがわかった(腕が後ろに回らない)

・回すと痛い

 

という状況でした。

 

この時、どういうことをやったかというと、

・運動分析

・最大圧痛点へのアプローチ

 

です。操体実践者ならば「あ、なるほど」と思うでしょう。

 

この話を三浦寛先生(師匠)に伝えたところ

「そういうのは、原因が明確にわかるからな(原因がわかれば対処法はそれほどむずかしくない)」

とのことでした。

 

 

橋本敬三先生の本には「短時間でぱぱっと」という状況が書かれていることがありますが、それは「原因がわかっていたから」だと思われます。

このような症状疾患には、第一分析(橋本敬三先生時代の操体法)は、奏功します。

 

もちろん「原因を読む」(診断分析)のが大事で、「取り敢えず基本を3つやっとこう」とか「知ってる操法を全部やってみよう」では、プロとしての対処は無理でしょう。

 

ちなみに、プロは「操法」よりも「診断分析」を重点的に勉強します。私自身操体の勉強の99パーセントくらいは「診断分析」で、残りが「操法」かなと思っています。

なので「操体」を実際に臨床に活かすには「操法」だけ覚えてもダメです。

 

 

第一分析(橋本敬三先生時代の操体法)は、このように、原因がはっきりわかっているとか、最大圧痛点など(被験者本人が痛みを訴えているところとは異なる場合がある)が明確な場合、もっと言えば、動かしてぶっ壊したりしたものは、3分程度で処置できます。

 

これも三浦先生に聞いたことですが、橋本敬三先生は、リウマチの患者さんにはてこずっていたそうです。

 

リウマチはご存知のとおり、免疫疾患です。敬三先生の本に、膠原病(全身性エリテマトーデス)の患者さんの話が載っていますが、操体法での治療の他に、食事などにも気をつける必要がありますし、ストレスやからだの問題もあるでしょう一度や二度受けたからといって良くなるわけがありません。

原因が複雑だからでもあります。

さらに、免疫疾患系だと、動かすと痛いという場合もあります。

 

動かして治す、ということができないとどうなるか。

 

運動系とは横紋筋系運動器官のことで、骨格を主とする硬組織と、筋肉から皮膚までを含めた軟部組織とを総称する。(生体の歪みを正すP169)

これは、橋本敬三先生の著書をPDF化して、文字検索をかけられるようにして、どの本のどこに何が書いてあるかすぐ検索できるようにしてあるものです。

私はAdobe製品をかなり前から使っているので、20年位前からこれを使っています。

昨年ある場所で、この手法を「さも自分が発見した」ように自慢気に話している人を見ましたが、畠山は20年前からやっております(笑)。

 

というわけで、三浦先生は、橋本敬三先生は「皮膚」も運動系に含めているし、「皮膚」も、関節同様8方向に動く、と気づいたので、「皮膚」に注目したわけです。

 

その後、皮膚へのアプローチは、からだを動かせない場合にも良いことや、三浦先生の経験から、うつ病心身症などの改善にもよい結果がでることがわかりました。

 

三浦先生は、当時、精神科のドクターとご縁があり、うつ病の患者さんをかなり回されたそうです。

精神科のドクターは、基本的には、患者に触れません。

 

また、当時精神科のドクター自身が三浦先生の操体治療を受けていたということもあり、精神科のドクターご自身が、操体(皮膚へのアプローチ系)の効果を体感していたからでしょう。

 

 

ワクチン接種後の上肢の痛み

美容院に3ヶ月ぶりに行ってパーマをかけてきました。

髪の毛を任せている美容師の兄さんとは結構長いお付き合いで、操体も定期的に受けている方です。

 

聞いてみると、4回目のワクチンを打ってから、左腕がどうもおかしい。動かさなければ平気ですが、エプロン(美容師さんだもん)を着ける際、後ろに左手が回らず、ボタンが止められないとのこと。

 

筋肉注射の後、打ちどころ?が悪かったのか、注射の後手が動かないという話は、割と聞きます。

 

補足:接種後、動かさなくても腕が痛い、寝る時接種側の腕を下にして寝られないという話もよく聞きますが、これは「動かさなくても痛い」ので、こちらとは少し違います。

今回は「接種後、ある特定の動きをすると運動制限と運動痛がある」というケースで、接種後1週間以上経っているという状況です。

 

というわけで、パーマが終わってから美容師の兄さんに椅子に座ってもらい、動作分析を行います。

 

こういう時に、第一分析やD1'(ディーワンダッシュ、つまり限りなく進化した、

第一分析を使うのです。

 

操体は時間がかかる」って言う人がいたけど、本来は、早いの。

 

敢えてゆっくりやってるの。

 

感覚の聞き分けや、クライアントのからだに負担をかけないように(早くても負担はかかりません)、敢えて、ゆっくりやってるだけ。

 

 

動作分析を踏まえて、D1'、「狙い打ち」で行きました。

 

3分後。

 

「あれ?腕が後ろに回る!ボタンはめられる?!あれれ???」

 

私「ふふっふー。それじゃまた髪の毛よろしくお願いします」

 

追補

その後、美容師の兄さんから「腕は後ろに大分上がるようになりました。やってもらった動きを自分でもやってます(←自力自療)」というLINEがありました。

 

「全部自分でやる」のではなく、最初はプロに任せて、後は自分でメンテというのはいい流れです。ちなみにこの方は、月イチで操体のメンテをしている方なので、その辺りはよくご存知なのです。

 

 

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伸びきっているりんりん

 

 

 

操体の「臨床」とは?

大相撲とか見ていると、よく力士が「自分の相撲が取れました」と言っています。

スポーツや競技ならば「自分の○○」というのがあるかもしれません。

 

ちなみに、我々(東京操体フォーラム・一般社団法人日本操体指導者協会)は、いわゆる「(操体の)治療」あるいは「(操体の)施術」を、「操体の臨床」と言っています。

 

「臨床」って何でしょう。

床に臨む??

我々の業界で「臨床」の反対語は「研究」です。

例を挙げると「臨床医」と「研究医」と言えば良いでしょう。

「臨床医」というのは『実際に患者さん(のベッドを訪れて)の治療を行うお医者さん。

「研究医」というのは、大学や研究所で、医学の研究をするお医者さんのことです。

 

操体創始者橋本敬三先生は、東北大の生理学教室で研究医として文字通り「研究」に携わっていました。この辺りは「生体の歪みを正す」や、「からだの設計にミスはない」に詳しいです。

 

橋本敬三先生は、仙台で研究に携わったあと、函館に「臨床医」(実際に患者さんを診るドクター)として赴きます。この時に、ざっくり言えば「研究ばかりしていたので、いわゆる『インターン』の経験が浅く、ちょっと大変だった」のです。

函館の診療所では「整形外科的な愁訴」が苦手。

そうなると、患者さんは街の民間療法の治療家(鍼灸とか)のところに行って、治っている事を知ります。

 

その「民間療法」の中に何かあるのでは、感じていた時に、友人のお父様が「正体術」というものを受けて、元気になったという話を聞くのです。