操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

生体の歪みを正す 操体法の医学と食養

操体法関連

操体を勉強するものにとってはバイブルともいうべき一冊。

生体の歪みを正す―橋本敬三論想集

生体の歪みを正す―橋本敬三論想集

林完治先生は書き込みだらけのぼろぼろになった本書をいつも携えていたし、三浦寛先生に至っては、治療所、自宅(自宅にも数カ所)おいてあり、いつでも目に付くところに置いてあるという。治療所にある一冊を見たことがあるが、『読んで、読んで、読んだ。まだ読む』といった風情だった。
自分のは、というと、ピンクの蛍光色の付箋がぺたぺた貼ってあり、色々な書き込みがしてある。

橋本敬三医師の著書には、書き下ろしというものがない。
例えば『現代農業』に連載されていたものを編集したものが『万病を治せる妙療法』である。

橋本敬三医師の著作全集については、何十年か前に企画されていたそうだが、諸般の事情により、計画は中断していると聞いている。

よって、これが今入手できる、一番ボリュームのある橋本敬三医師の著作である。
読んでみると、『誰にもわかる操体法の医学』『からだの設計にミスはない』と重複しているところがあるが、様々な医学専門誌や医道の日本誌などに投稿したもの、あるいは戦前に書いたものをうまく並べてある。必ずしも時系列になっているわけではないのだが、編集者の苦労と工夫が見えるつくりになっている。
橋本敬三医師が、漢方と鍼をやっていた頃の話や、正体術の色が残る、骨格矯正法を日々臨床の中で行っていた時代の話、ロシア(シベリア)に抑留されていた当時の話なども載っている。

この中で何度も出てくる言葉といえば『運動系』。
『皮膚も含めた』
そう。運動系には皮膚も含まれている。

ちなみに、この「論想集」を読むのにもってこいなのが、

操体法の医学と食養〈上〉「気持よさ」が癒す意味―身体から宇宙へ

操体法の医学と食養〈上〉「気持よさ」が癒す意味―身体から宇宙へ


操体法の医学と食養〈下〉増補 心残りの論考七つ・詩/随想

操体法の医学と食養〈下〉増補 心残りの論考七つ・詩/随想

著者の田村先生と私は直接の面識はないのだが、田村先生は東京操体法研究会の先輩にあたる。マクロビオティック桜沢如一先生にご縁が深い先生だ。橋本敬三先生は、桜沢先生の『無双原理』に共感していらっしゃったようだが、マクロビオティック(の考え方)と操体の考え方を並行させて説いている。

無双原理・易―実用弁証法

無双原理・易―実用弁証法


無双原理・易―「マクロビオティック」の原点

無双原理・易―「マクロビオティック」の原点

多少勿体ないのは、東京操体法研究会で、「快適感覚」に対する動診と操法を勉強されているはずなのだが、出版されている書籍で操体を読み解く、というつくりになっているため、現在の操体において、重要なポイントである『快適感覚』についてはあまり書かれていない。残念と言えばここが残念か。

(巻末の参考図書には、私の『ふわくにゃ』も入っていた。お恥ずかしい限り)

さて、『論想集』は分厚い。付箋を貼ってはいるものの、『あれ??あの言葉って、どこにかいてあったっけ???』
と言う時、逆引き辞典のように使うこともできる。橋本先生の書かれた重要な言葉が、何年(橋本敬三先生が当時何歳かまで書いてある)、論想集の何ページに書いてあるかということがわかるのだ。

こちらもボリュームがあって、更に上下巻ある。最初、上巻だけかと思っていたら、数年たってから下巻が出た。
その細かい仕事には頭が下がる。