花粉症というのは昔はなかったような気がする。その昔、デンマーク人の同僚と話していたら「それはhay feverだ。ボクのはAcupuncture(鍼治療)で治った」というのを聞いたことを覚えている。(hay feverとは枯草熱の事で、rose coldとも言うらしい。枯草熱よりも薔薇風邪のほうが素敵な気もしないではない)
かくいう自分は花粉症には縁がないと思っていたのだが、ある時いきなり発症した。といってもそんなにひどいものではなく、屋外で草が生えている川辺を歩いたり、強い風に当たったりするとくしゃみとか鼻水が出る程度で、それよりも夜中にたまに出る咳(これも喘息というには軽い)のほうが大変だ。
つまり、どちらも大してひどくないのだが、生活に支障をきたす程度ではない。ほどほどのお付き合いだ。
一月になると早い人は「来たか」と感じるという。花粉症の季節である。
そもそも、人間の身体は鈍感になってきている気がするのに、何故花粉症は増えているのだろう。どこかで読んだが、鈍っている身体を本来の季節の身体に戻すための、人間の身体の内なる発動力なのかもしれない。
操体では「原始感覚」ということを言うが、これは別に「本能の赴くままにせい」と言っているわけではない。「快か不快かききわけるちから」を言うのだ。誰かが「原始勘覚」と言ってもいいですねと言っていたが、確かに「勘」といってもいいだろう。