操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

運命の波にのる 魔法の話し方

運命の波にのる魔法の話し方

運命の波にのる魔法の話し方


こういうタイトルの本、男性はまず本屋で手に取って買わないと思う。しかし本はネットで買えるし、こういう本を手に取ってみてもいいのだ。そういう私はこの本をビジネス系のメールマガジンで知った。
「話し方」の本というと、最近流行のヴォイストレーニングかな?と思うかもしれないが、この本、実は
「息食動想」の「想」、精神活動について書いてある本なのだ。

いつも思うのだが、操体をされている方で、ホームページに「息食動想」の「想」を「明るく大らかに生きましょう」と書いてある方に限って、明るく大らかではないんじゃないかという気がする。これは私にとって大いなるナゾであるが、明るく大らか生きられないから悩んでいる人もいるのは事実だ。それができないのが現代社会の大きな悩みではないか。

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

「言葉」についていつも思い出すことがある。私が操体を最初にならったK先生と、もう一人と私でお茶をしながら操体談義をしていた時の話だ。私は当時三浦先生は存じあげており、面識もあったが、まだ入門する前だった。
K先生は師匠、三浦寛先生の如く「生体の歪みを正す」をぼろぼろになるまで読み込んでおられ、付箋や書き込みだらけにされていた。
「私は気がついたんです。橋本先生や三浦先生の本に共通するメッセージに気がついたんですよ」
「そうですか」私は答えながらも、その答えは分かっていた。
「それは、『感謝』という言葉です」
「そうですね。実は私もそう思っていました」
K先生と私が話していると、もう一人の方がいきなり不愉快な顔をして
「なんで『感謝』何ですか?」と大声をあげた。私は驚いた。仮にもその人もK先生の生徒なのである。その後もその人は「なんで『感謝』って言い切れるんですか?」と声を大きくしてK先生に詰め寄った。K先生も、何故「感謝」という言葉に対してその人が過剰反応するのかわからないようだった。
私は「もうやめて下さい」と中に入り、K先生に「今日はこれで終わりにしましょう」と言い、K先生を駅まで見送ったのである。
駅から帰る道すがら「感謝」という言葉に対して、その人が何故過剰に反応したのか、考えてみたが今ひとつ分からなかった。今考えると「偽善」を感じていたのかもしれない。私にとって「感謝」という言葉を聞いてあれほど怒った人を見たのは後にも先にもこれっきりである。

偽善入門―浮世をサバイバルする善悪マニュアル

偽善入門―浮世をサバイバルする善悪マニュアル

「魔法の話し方」に戻ろう。まず、目次を見ただけで操体を学んでいる人は「なるほど」と思うのではないか。

「言葉を制する者が人生を制する」
私たちは「話した通り」の人生を歩んでいる
「考え方」を変えるより、まず「言葉から」
「がんばる、必死になる、努力する」は警告ワード
「はい」の返事が会話をつくる

私達は「言葉は運命のハンドル」と言うし、「頑張るな、威張るな、欲張るな、縛るな」という「バルの戒め」というものもある。


そういえば、私も少し気になることがある。
「すみません」という言葉の使い方である。「ありがとう」の代わりに「すみません」を使う方がたまにおられるが、無意識の日常的な自己懲罰のような気もする。簡単に言えば、常に対外的に謝っているような感じがして、聞いているほうも何故か少し心が痛むのは何故か。
と思っていたらこの本にも書いてあった。

「すみません」を連発していると、ますます「すみません」と言わざるを得ないような場面を引き寄せます。「すみません」を安売りするくらいなら「ありがとうございます」のバーゲンセールのほうがお互いの幸せに貢献できるのです

著者のはづき虹映(こうえい)氏は、カバラ数秘術に改良を加えた「誕生数秘術」の考案者であり経営コンサルタントと並行して、スピリチュアルと占いの分野を中心に活躍中である。時々講演者として招かれ、大勢の前で話す機会があるのだそうだが、あまり上がるということがないらしい。その3つの秘訣が書かれているが、「なるほど」と頷いてしまった。実は私も人前であまり上がらないのだが、似たような気構えで臨んでいるのだと思う。