操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

答えは、自分の中にある ―中心感覚を目覚めさせる60の具体例

「書庫」では今年初めて?と思わず自分でもびっくりしてしまった。あっという間にもう11日、1月も3分の1過ぎているではないか。年末年始はそれなりにゆっくりして読書三昧だったのだが、相変わらず夜寝る前は携帯で「モバイル中谷塾」の本を読むのが日課。いつも言ってるけど、月額350円で250冊以上の中谷本が読み放題というのは素晴らしい。ついでに私は「超辛口」の「悩み相談」も楽しみにしている。最近は「妄想日記」も盛り上がっているようで。


「中心感覚を目ざめさせる60の具体例」
中谷氏はボールルームダンスを習っているそうで、この本は多分そこから多くのヒントを得ているのではないかと思う。ボールルームダンスボールルームダンスは完全に男性上位のダンスだそうである)

これは別の筋の話だが、ボールルームダンスでは、男性がリードするので「リーダー」であり女性はフォロワーである。一流のリーダーとは、女性とフロアで踊って「今日は空いていて踊りやすかったわ」と言われるそうであって、「今日はあなたのリードで上手く踊れたわ」と言われるのでは二流のリーダーなんだそうである。女性にさとられないように、自然にリードするわけだ。ボールルームダンスにはまる男性が多いのも何となくわかる気がする

本書は「中心感覚」と「軸」について書いてある。

中心感覚は「鍛える」のではなく「感じる」ことが大切です(中略)感じることができれば、ズレている中心感覚を修正することができます。

中心感覚を感じるためには、周辺に力を入れないようにしましょう。周辺に力が入ると、中心がどこにあるかわからなくなってしまうのです。人間の体を1つの円として考えて、その真ん中に焦点があるとすれば、その焦点に中心感覚があります。円の周囲に力が入ると、円はどんどん拡散します。そして中心感覚がどこにあるかがあやふやになるのです。それは輪ゴムのようなものです。
本来、人間の体は輪ゴムのようにどんどん伸びていけます。ところが、ゴム自体が硬くなると、切れやすくなります。円の中心である焦点がぼやけて、中心感覚が感じられなくなってしまうのです。体は円の縁のようなものでも、ドーナツ状のものでもありません。真ん中に焦点があって、そこから広がっているのが体なのです。

中心感覚と軸、という感覚を持つことが大切です。中心感覚を意識できれば、その延長線上に棒を伸ばすことで、どちらを向いても軸があります。自分の中心感覚を感じる方法の1つは、遠くを見ることです。
船でも遠くの景色を見ていると酔いません。酔うのは、近くの波を見るからです。
近くに目線がいくと、中心感覚がどこにあるかわからなくなって、バランスを崩し始めます。遠くを見ている人は、視線がキョロキョロしなくなります。遠くの対象物と自分の中心感覚をつなげることで、明確な軸ができるのです。

以前から「視診時は凝視するな」と言っているが、凝視していると「みえない」のである。本人がいくら目の玉をひんむいて凝視しても結局はキョロキョロしているのと同じで、みえないのだ。
もしかしたら「凝視癖」がある場合、中心感覚と軸(自然体立位で般若身経で強化?)のトレーニングで解消できるのではと感じた次第。

この他、操体ではおなじみだが「薬指と小指を生かすだけで、体の感覚は飛躍的に磨かれます」とか、「肩甲骨」についても記載がある。

ボールルームダンスが基礎なので(イギリス発祥)、操体とはポジショニングなどが若干違うものの、非常に参考になる一冊。