確かこの本を買ったのは昨年の初秋だったと思う。去年の秋は何だか精神的に落ち着かない時期だった。震災の影響もあったのだろうが、何か「呪い」をかけられているとでもいうような時期だった。
実際、言葉で「呪(しゅ)」を私に投げかけた人もいた。もしかしたら「うつ」かもしれない(思っただけだが)10月後半、ある場所に行ったところ、憑きものが落ちたかのように、心が晴れるという体験をした。
実際に「呪い」をかけて失敗し(勿論相手に少しはダメージを与えたが)、その後重い病にかかった人も知っている。迂闊に人を呪ったりするものではうない。
昨年読んだ時は何故かアタマにすっと入らなかったのだが、今回「自炊本」する前にもう一度読もう、と思ったのである。
不思議なことに、今回はすらすら読めた。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/11
- メディア: 単行本
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ウチダ先生は「現代は呪いの時代」だという。
この「呪いの時代」をどう生き延びたらいいのか。その答えの一部はすでに書きました。それは生身の、具体的な生活のうちに捉えられた、あまりぱっとしない「正味の自分」をこ、真の主体としてあくまで維持し続けることです。「このようなもの」であり、「このようなものでしかない」自分を受け容れ、承認し、「このようなもの」にもかかわらず、けなげに生きようとしている姿を「可憐」と思い、一掬(いっきく)の涙をそそぐこと。それが「祝福する」の本義だと思います。
呪いを解除する方法は祝福しかありません。自分の弱さや愚かさや邪悪さを含めて、自分を受け容れ、自分を抱きしめ、自分を愛すること。多くの人が誤解していることですが、僕たちの時代にこれだけ利己的で攻撃的なふるまいが増えたのは、人々が「自分をあまりに愛している」からではありません。逆です。自分を愛するということがどういうことか忘れてしまったせいです。僕たちはまず「自分を愛する」というのがどういうことかを思い出すところからもう一度始めるしかないと僕は思います。36〜37ページ
師匠はよく「自分を好きになること」と受講生に語る。自分が好きでなければ他者にやさしく出来るわけがない。
よく考えると、先週の東京操体フォーラム実行委員ブログで似たようなコトを書いていた。
私にとって操体とは 八方美人